高断熱で快適な住宅に設計するには「窓」の設計がとても重要です。
窓は光や太陽熱を取り込む場所です。しかし窓は一番冷える場所でもあります。
めちゃくちゃ結露する
いつのまにかカビだらけ!?
それを解決するのが「断熱サッシ」と呼ばれる複層ガラス窓です。
この記事では、断熱サッシの効果や構造、そして比較について紹介します。
- 夏でも冬でも快適! 断熱サッシの効果とは?
- 断熱サッシの構造と種類
- 効果的な断熱サッシの配置方法
窓の断熱性はリフォームでも改善しやすいですよ!
冬でも窓際が暖かい!断熱サッシの効果とは?
冬場の断熱サッシの効果には、次のようなものがあります。
- 窓際の温度差を感じにくくする
- 窓にできる結露を防ぐ
- コールドドラフトを防ぐ
普通の窓は、ガラス一枚で外と部屋の中を隔てている場所です。ガラスは熱や冷気を通しやすいため、冬には窓周りがとても寒くなります。
さらに部屋の暖かい空気が窓ガラスで冷やされて結露が発生することはよく知られています。
断熱サッシは、窓周りの寒さを軽減する効果があります。
窓ガラスの周りが寒くなるのは、断熱ができてないというだけではありません。冷やされた室内の空気によって「コールドドラフト」という対流が発生することがもう一つの理由です。
断熱サッシによって、窓からの熱の放射や対流が防止され、窓際の寒さを感じにくくなります。
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夏場も快適に!断熱サッシが暑さ対策にも有効な理由
夏場の断熱サッシの効果には以下のようなものがあります。
- 熱の侵入を抑える
- 外からの太陽熱を遮断する
- 紫外線を減らして家具や床の日焼けを防止する
断熱サッシは、夏場の暑さ対策にも有効です。
断熱サッシは外気の熱が室内に侵入するのを抑え、冷房で冷やされた室内を涼しく保ちます。
また、断熱サッシはふつうの窓ガラスに比べてもUVカット機能が高くなっています。そのため、室内の家具や床材などの色あせを防止する効果もあります。
断熱サッシには次のの2タイプがあります。
- 断熱タイプ
- 遮熱タイプ
遮熱タイプには断熱性能がないか、というわけではありません。断熱タイプに遮熱効果を追加したと考えてください。
「遮熱タイプ」は、太陽光によって部屋の中に熱が入ってくるのを防ぐ効果があります。
そのため、夏場の西日で部屋の中が暑くなることを軽減してくれる効果が期待できます。
「遮熱タイプ」は部屋の中の温度が上がるのも防いでくれるよ!
断熱サッシにはデメリットも?正しい知識で選ぶポイント
夏にも冬にもうれしい断熱サッシにも、いくつかのデメリットがあります。
断熱サッシのデメリット
断熱サッシのデメリットの例は以下となります。
- 導入コストが高い
- 重たくて開閉が大変
- 設置できない場所もある
まず、コストが高いことが挙げられます。普通の窓に比べてガラスが二重となり、さらに特殊な加工もされています。そのため、どうしても導入コストが高くなります。
そして、かなり重い。掃き出し窓くらいのサイズになると、小さなお子様だと開閉も難しいくらいです。
設置にも制約があり、天窓や上げ下げ窓については断熱サッシは適用することができません。
とは言え、断熱サッシのメリットはデメリットを凌駕します。正しく適用すれば、すごく快適な家づくりができることは間違いありません。
断熱性・遮熱性以外の断熱サッシのメリット
また、断熱サッシには次のようなメリットもあります。
- 省エネ効果がある
- 防音効果がある
二重ガラスや三重ガラスといった断熱サッシは、その高い断熱効果により部屋の中の冷房や暖房の冷気・熱を外部に逃しません。
そのため、快適な温度に保つためのエネルギーが小さくなり、省エネ効果が期待できます。
また、窓ガラスは通常、防音効果もほとんどありませんが、断熱サッシのペアガラスの間には真空層があるため、音も通しづらくなります。
普通の窓ガラスではほとんど期待できない防音効果があるのは快適な生活のためにもメリットとなります。
さらに断熱ガラスのバリエーションの中には防犯機能も備えたものもあります。
種類や構造で違いがある!断熱サッシの効果比較
断熱サッシの構造に注目!
断熱サッシには、ガラスの枚数や枠の種類、遮熱や断熱機能など、さまざまな種類や構造があります。
ポイントは、
- ガラスの枚数
- 「遮熱」か「断熱」か
- 枠の素材
ガラスの枚数と種類
断熱サッシの中でも、二重窓のガラス枚数は1枚のものから3枚のものまで様々なものがあります。
断熱サッシの構造については、基本的には二重窓あるいは三重窓となっており、ガラスの枚数が多いほど断熱効果は高くなります。
その代わり、窓そのものが重く、そして値段も高くなります。
「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」の違い
断熱サッシには、熱を遮断する遮熱と、熱を逃がさない断熱の2つの機能があります。
断熱ガラスと遮熱ガラスは全く違うガラスというわけではありません。
断熱ガラスの中に遮熱機能がついたものが、遮熱ガラスです。
遮熱ガラスは窓ガラスに薄い金属膜を施すことで、日射によって室内に入ってくる熱をさえぎる効果があります。
夏に効果が大きいガラスですね。
枠の種類と素材
従来のサッシの枠材は長い間アルミが使われてきました。
断熱サッシの枠にはアルミなどの金属製、樹脂製、アルミと樹脂の組み合わせ(複合サッシ)の3種類があり、断熱性能は以下の順で高くなっています。
樹脂サッシ > アルミ樹脂複合サッシ > アルミサッシ
金属製サッシは丈夫ですが、熱を通しやすく断熱性はとても悪いです。一方で樹脂サッシは熱をとしづらい特性を持っています。
金属だと重いんじゃない?
ところが軽いんだよ!
樹脂は強度を持たせるために分厚くして強度する必要があります。一方でアルミは金属の中でも軽いうえ、薄くても強度が出せるので金属製サッシの方が軽いです。
紫外線に対する耐久性も金属サッシの方が高くなっています。とはいっても、樹脂サッシでも30年以上の耐久性は確認されています。
また、性能とは関係ありませんが樹脂サッシはカラーバリエーションが多く、屋外側と室内側でもデザインを変えることができます。
私の家では外側木目調、内側ホワイトで導入しています。
見た目もこだわれるのが樹脂サッシ!
サッシの材質別特徴まとめ
樹脂サッシ | 複合サッシ | アルミサッシ | |
---|---|---|---|
断熱性 | 高い | 中間 | 低い |
重さ | 重い | 中間 | 軽い |
耐久性 | 低い | 中間 | 高い |
デザイン | 豊富 | 室内側は豊富 | 少ない |
価格 | 高い | 中間 | 安い |
断熱性能を考えると、妥協して「アルミ樹脂複合サッシ」を選ぶことがあっても、「金属サッシ」はありえない!
断熱サッシの効果を最大化する配置術とは?知っておきたいポイント
断熱サッシの効果を最大化するためには、適切な配置が重要です。ここでは効果的な配置方法をいくつか紹介します。
南向きには「断熱サッシ」を設置する
南向きの窓には太陽光がよく当たるため、冬場は自然な暖房効果があります。そのため、南向きの窓は断熱タイプのサッシを設置することで、冬場には太陽熱を取り込み、暖房コストを抑えることができます。
ただし、夏場は暑くなる原因となります。屋根の庇(ひさし)を適切に配置することで等に影を作り、夏は熱が入ってこないような工夫をする必要があります。
庇を効果的に設計できれば、冬は太陽が入って暖かく、夏は影ができて涼しい家づくりが可能です。
東西向きの窓には「遮熱タイプ断熱サッシ」を設置する
東西の窓は、夏場でも日差しが室内に入ってきて暑くなる原因となります。そこで遮熱タイプの断熱サッシを使うことで、日射熱の影響を最小限に抑えることができます。
特に西日がきついため、遮熱にだけ頼るのではなく、無駄な窓は作らずに日射そのものを減らすことを意識しましょう。
窓の場所とサイズは適材適所
断熱サッシは、窓のサイズに合わせて選ぶことが大切です。断熱サッシの効果は絶対ではなく、断熱材には劣ります。
窓の大きさに対してサッシの性能が不足していると、効果が十分に発揮されない可能性があります。
窓の大きさや配置に関しては、パッシブデザインの考え方にも非常に重要です。
より省エネな暮らしをするためにも、妥協はしたくありませんね。
断熱サッシは快適な暮らしを実現する必須アイテム
断熱サッシには、このような素敵な効果ぎあります。
- 冬は日射熱を取り込みつつ室内の熱を逃がさない
- 夏は日射を遮って室内を涼しく保つ
この記事では、断熱サッシの効果や構造、種類について解説しました。
夏はカンカンに暑くなって、冬は結露でベチャベチャな窓が嫌なら、断熱サッシは絶対に導入するべきです。
高気密・高断熱で快適な家づくりをするためには、断熱サッシは必須アイテムと言えるでしょう。
- 断熱性の高いサッシはどれですか?
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断熱性能は樹脂サッシが最も高いです。
断熱性能が高い順に、「樹脂サッシ > アルミ樹脂複合サッシ > アルミサッシ」となります。 - 「遮熱ガラス」と「断熱ガラス」のどちらを選ぶべきですか?
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それぞれ用途が違うため、場所によって使い分けるべきです。
具体的にはこちらで解説しています。 - 窓の結露を防ぐためにはどのような窓を選ぶべきですか?
-
基本的に断熱性能が高ければ高いほど結露はできづらいです。
複層ガラスに樹脂フレームの組み合わせをおすすめします。