「エネファーム」は、ガスを使って電気と熱を同時に生み出す「給湯器 兼 発電装置」です。
燃料電池って言えば、名前は聞いたことのある人も多いと思います。
燃料電池は水素と酸素で発電する装置で、非常に高いエネルギーの効率が特徴。
エネファームを上回る高効率な家庭用給湯器はなく、光熱費削減のメリットが期待できます。しかし、導入費用が非常に高いというデメリットもあります。
本記事では、エネファームの仕組みと長所と短所について解説します。
給湯器選びに後悔しないためにも、ぜひこの記事をお役立てください。
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エネファームとは?エネルギーを効率的に活用するしくみとは
まずはエネファームの仕組みで給湯と発電を行っているか解説します。
エネファームとは燃料電池のこと
エネファームとは、家庭や建物で使用される「燃料電池システム」のことです。
車のエンジンの代わりとして環境に配慮されたシステムとしても開発されています。
そのため、名前を聞いたことある方も多いかと思います。
エネファームの仕組みはどのようなものか?
エネファームで用いられている燃料電池システムでは、天然ガスやプロパンガスなどから水素を生成し、空気中の酸素と反応させて電気を発電します。水素と酸素を反応させることで、化学エネルギーを電気エネルギーに変換しています。
また、燃料電池は発電時に熱が発生しますので、その発生した熱も給湯や暖房に利用できます。
また、燃料電池の特徴の一つとして、エネルギー効率が非常に高いことがあります。電気と熱の二つのエネルギーを同時に得る「コジェネレーションシステム」のエネルギー効率は80%以上といわれています。
ちなみに、同じ化石燃料を利用するものとして一般的な火力発電では50%程度、ガソリンエンジンは30〜40%程度です。
エネファームは家庭用給湯器兼発電機として利用される
エネファームは燃料電池の使い方として、家庭用の給湯器と発電機をメインとした利用に特化した製品です。
家庭でのエネファームの導入により、発電時に発生する熱を利用してお湯を沸かしたり、暖房を行ったりすることができます。
これにより、一つのシステムで二つのエネルギーを効率的に供給することができます。つまり、光熱費を安く抑えることができます。
エネファームのメリット:光熱費削減と環境配慮
エネファームのメリットには大きく次の二つがあります。
- 光熱費の削減
- 環境保護への貢献
- 停電時の自家発電
詳しく解説します。
エネファームのメリット① 光熱費の削減
エネファームを利用することで、家庭光熱費を削減することができます。
ガスが持つエネルギーを無駄なく利用できるため、給湯・電気代を安くすることに貢献できます。しかも、給湯した時に発電した電気が家庭内で使いきれなかったとき、余剰電力売却として電力会社に電気を売ることもできます。
従来の給湯器よりも効率よくお湯を沸かし、発電した電気も無駄なく使えるメリットがあります。
もちろん、売らずに蓄電池に電気を貯めて、自分の家で使用することもできます。
エネファームのメリット② 環境保護につながる
エネファームは、燃料電池は天然ガスを利用しますが、エネルギー効率が高いため、従来の発電方法に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なくなります。
つまり、地球温暖化の原因となるガスの放出を抑えることができます。
エネルギーの無駄な消費を減らし、エネルギーの持続可能な利用にも貢献、社会的にも有用です。
エネファームのメリット③ 停電時に自家発電できる
エネファームの自家発電機能を利用すると、自宅で使う電気の一部をまかなうことができることは説明しました。
さらに、エネファームは停電時にも使用することができ、計画停電や急な停電にも対応することもできます。
自家発電と同時にお湯を沸かすこともできます。
ただし、ガスが使用できる状況に限ります。
エネファームのデメリット:高価な導入費用とメンテナンスの必要性
メリットの効果が大きいのに、なかなか普及しないのにはもちろん理由があります。
- 導入費用が高い
- メンテナンスコストが高い
デメリットと合わせて、どのようにすればよりお得に導入できるかも紹介します。
デメリット① エネファームの導入費用が高い
エネファームら他の給湯器と比べると、めちゃくちゃ高いです。
エネファームの導入費用
- 150万〜200万(一例)
他の種類の最新型給湯器ならどんなに高くても60〜80万程度で導入できるので、エネファームの高さが際立ちます。
エネファームの導入費用が高額になる理由はいくつかあります。
エネファームが高い理由
- 本体そのものが高価
- 利用者が少ない
本体そのものが高い
燃料電池システム自体の価格が高いことがあげられます。
燃料電池は水素と酸素を反応させるために、白金(プラチナ)を使った特殊な触媒が用いられています。これがとにかく高い。
また、導入には建物の改修や設置工事が必要となり、それに伴う費用もかかります。
技術力の高さゆえに、特殊なシステムによって費用が高くなってしまいます。
利用者が少ない
エネファームの技術はまだ比較的新しいです。そのため、需要がまだ少ないことも費用が下がらない要因です。
もし需要が増えることで生産量が増え、結果的に費用が下がる可能性もあります。
デメリット② メンテナンス費用が高い
エネファームは定期的な点検や清掃が必要です。これにより、システムの正常な動作を確保し、効率を維持します。燃料電池の部品の交換や修理が必要な場合もあります。
これらのメンテナンス作業は専門知識や技術が必要であり、定期的な費用や専門家のサポートが必要となります。
エネファームのメンテナンスは、実はメーカーから10年間は無料で受けられます。
それ以降は有償でメンテナンスを実施する必要がありますが、一回あたり10万円かかることもざらです。
メーカーによってはさらに有償の延長保証が受けられることもありますが、それでもメンテナンス費用がかかることに違いはありません。
無料とは言っても、そもそもメンテナンス費用は初期費用に含まれていると考えて間違いではありません…
デメリットへの対策方法
エネファームの費用の高さを打ち消す方法がいくつかあります。
エネファームの導入費・維持費を抑える方法
- 補助金を利用する
- 売電を利用する
補助金を利用する
エネファームはその環境への効果から、導入時に国から補助金がもらえます。
売電を利用する
エネファームで発電した電気が家庭では使いきれずに余った場合、余剰電力をガス会社が買い取ってくれる制度があります。
ただし、注意しなければいけないことがあります。
ガス会社によっては太陽光発電とのダブル発電の場合だけしか買い取ってくれないこと。
エネファームの余剰電力単体で買い取ってくれるのは、
- 大阪ガス
- 静岡ガス&エナジー
などがあります。
エネファームの導入を考える場合、電力買取制度があるかどうか、必ず確認するようにしましょう。
【まとめ】エネファームで後悔しないためにはメリット・デメリットから判断しよう
エネファームは、家庭の給湯システムにおいてもっともエネルギー効率の高い機器です。
ただ、メリットとデメリットを総合的に考えるとなかなか手が出しづらい選択肢です。
エネファームのメリット・デメリットまとめ
メリット | デメリット |
---|---|
光熱費が安くなる 環境負荷が小さい 停電時にも発電できる | 導入費用が高い メンテナンスが大変 |
エネファームのメリットは、まず環境への負荷削減です。一つの装置で電力と熱を同時に生み出すため、二酸化炭素の排出量を削減できます。また、光熱費の削減も大きな利点です。
効率的なエネルギー利用により、光熱費を抑えることができます。
自家発電が可能なため、停電時にも安定した電力供給ができます。
一方、デメリットとしては、高価な導入費用が挙げられます。
エネファームの導入には相応の費用がかかり、一般の家庭や企業にとって手が出しにくい場合もあります。また、メンテナンスの必要性もデメリットとなります。
エネファームの導入で後悔しないためにも、個々の状況やニーズに合わせて判断することが重要です。政府や自治体の補助金や助成制度の活用、技術の進歩によるコストダウンなど、エネファームの普及促進策も進んでいます。
将来的には、より利便性と経済性が向上し、普及が進む可能性もあります。
給湯システムの見直しを検討されている方は、エネファームのメリットとデメリットを総合的に考え、賢い選択をすることが重要です。
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