家づくりの際には、まず次の3つのどこで建てるかの選択がでてきます。
- ハウスメーカー
- 工務店
- 設計事務所
それぞれには独自の特徴とメリット・デメリットが存在します。
本記事では、ハウスメーカー・工務店・設計所事務所の特徴を詳細に解説し、あなたのニーズに合った選択をするための比較ポイントを紹介します。
これからはじまる家づくりに向けて、より良い判断ができるよう、後悔のない選択のためのお手伝いをいたします。
ハウスメーカー・工務店・設計事務所のそれぞれの特徴とメリット・デメリット
ハウスメーカー、工務店、設計事務所はそれぞれ異なるアプローチで家づくりを行います。
大きく言うと、それぞれ以下のような特徴があります。
ハウスメーカー
規格化された住宅を大量生産する大企業。プロセスが簡単で、比較的安価に家を建てられる企業から、高品質な高級ハウスメーカーまで様々。
工務店
地域密着型で、個人に合わせたサービスを提供しながらもコストを抑えることができる中小規模の業者です。
設計事務所(建築家)
個々の要望に合わせたオーダーメイドの家づくりを提供し、デザインや柔軟性に重点を置いています。
さらに詳しくそれぞれの特徴とメリットを知り、最適なパートナーの選択に役立てましょう。
ハウスメーカーの特徴とメリット
ハウスメーカーは、大量生産と効率化を追求しています。
一般に家づくりの各プロセスを標準化し、時間とコストを削減することに注力しています。
その結果、比較的短期間での引き渡しが可能となります。
ハウスメーカー各社には特徴があり、高級なものからローコストまで様々。その中でも設備・性能を高めたものや材料の質感、高級感を追求したものもあります。
メリットは次の点です。
- 安定した品質
- 短い建築期間
- 最小限の手間
- 保証制度の充実
長期間にわたるアフターサービスを提供している点も大きな安心材料となります。
一方で、特に全国展開している大規模メーカーだと広告宣伝に多額の資金が費やされており、それらのコストものしかかってくることがあります。
まあ、デザインや間取りが標準化されているだけに、カスタマイズには制限があります。標準仕様から変更箇所が多くなるほど、コストは上がってしまいます。
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工務店の特徴とメリット
工務店は地元密着型の事業が多く、顧客一人ひとりの細かな要望に応えるオーダーメイドの家づくりが可能です。
地域の気候や風土に合わせた設計を得意とし、中には地元の材料を使用することで、独特の風合いを持った住宅を実現しているところもあります。
このタイプの最大のメリットはその柔軟性です。得意な型はあるにしろ、標準仕様の制限がゆるく、間取りやデザインに自由が効くことがおおいです。
お客様と直接やり取りしながら、理想の家を具体的に形にしていくプロセスは、特に家づくりのこだわりが強い方におすすめです。
コスト面での透明性も高く、予算内で最大限の価値を引き出すことが期待できます。
ただし、企業ごとの技術力や信頼性にバラツキがあるため、選定には注意が必要です。
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設計事務所の特徴とメリット
設計事務所は、完全なオーダーメイドの家づくりに特化しており、建築家やデザイナーが直接設計プロセスに関わります。
顧客の要望を最大限に反映した、ユニークでクリエイティブな住宅を実現することができます。
基本的に、設計事務所と実際に建築を行う工務店は別です。施主は設計士に建築を依頼し、工務店は下請けという形で設計士から建築を依頼します。もちろん、施主が工務店を指定することも可能です。
設計事務所での家づくりは、自分だけの特別な家を建てたいと考える人に最適です。
デザインの自由度が高く、生活スタイルに合わせた細やかな配慮が可能。また、材料選びから施工方法に至るまで、細部にわたるこだわりを実現できるのも大きなメリットです。
ただし、設計、建築には高いコストと時間を要する場合が多く、予算との折り合いをつけるのが難しいことも少なくありません。
その代わり、他の人の家とは全く違う、あなただけの家を作ることができます。それが最大の魅力です。
どのような観点で選ぶ?ハウスメーカー、工務店、設計事務所の比較
ここからは、ハウスメーカー・工務店・設計事務所を、いろんな観点で比べていきます。
それをまとめた表は次のとおりです。
ハウスメーカー | 工務店 | 設計事務所 | |
---|---|---|---|
コスト | △ 〜 ○ | ◎ | △ |
デザイン | ○ 〜 ◎ | △ 〜 ○ | ◎ |
柔軟性 | × | ○ | ◎ |
品質 | ◎ | △ 〜 ○ | △ 〜 ○ |
スピード | ○ | △ | × |
手間 | ◎ | △ 〜 ○ | △ |
各項目について、詳しく解説していきましょう。
コストで比較する
- ハウスメーカー
-
大量生産と効率化により、コストパフォーマンスが高い。標準化されたプランを選ぶことで、余計なコストを抑えられるが、カスタマイズを多く加えると価格が上がる
- 工務店
-
比較的小さな規模で経営しており、広告費やモデルハウスの維持といった余計なコストを抑えつつ、質の高い家づくりが可能。工務店によって、見積もりや最終的な建築コスト、品質に差があるため、比較検討が必要。
- 設計事務所
-
イチから時間をかけて設計する完全オーダーメイドであるため、コストが高め。しかし、顧客の細かなニーズに対応でき、規格にないものを作る場合はハウスメーカーよりも安く済ませられることも。
デザインで比較する
- ハウスメーカー
-
現代的で洗練されたデザインの中から選択することができるが、基本的にはカタログやモデルに基づく。そのため、オリジナリティには限界がある。
- 工務店
-
顧客の要望に応じて柔軟にデザインを変更でき、地元の風土に合わせた設計が可能。デザイン力は事業者の技術力に依存する。
- 設計事務所
-
建築家やデザイナーと一緒に一からデザインを考えることができるため、高いオリジナリティと独創性を持った住宅を実現できる。
柔軟性で比較する
- ハウスメーカー
-
プレハブ住宅や規格住宅、あるいはそのハウスメーカーの独自構法が中心のため、構造や間取りの変更には限りがある。しかし、建築プロセスが標準化されているため、一定の品質と効率を保証できる。
- 工務店
-
地元密着型で顧客一人ひとりの要望に応じた家づくりが可能。細かな変更や特注の要望にも柔軟に対応することができる。ただし、品質にばらつきがあるため、どこに依頼するかはしっかりと検討する必要がある。
- 設計事務所
-
完全オーダーメイドのため、顧客の想いを最大限に反映した家づくりが可能。間取りや材料選びから、細部のデザインに至るまで、高い柔軟性を持つ。
品質で比較する
- ハウスメーカー
-
大手企業が多く、建築の標準化により一定以上の品質を保証。長期保証制度が整っている場合が多い。
- 工務店
-
技術力の高い職人が建築に携わることで、細部にわたる高品質な家づくりが期待できる。事業者によって品質に差があるため、選定時には慎重に評価が必要。
- 設計事務所
-
高いデザイン性とともに、機能性や耐久性にもこだわった建築が可能。建築家が外部の目として監理をするため、、細部にわたる品質管理が行われる。
スピードで比較する
- ハウスメーカー
-
標準化された建築プロセスにより、比較的短期間での建築が可能。迅速な家づくりを求める人に適している。とくに、工場でほとんど形を作った後、現場で組み立てる方式のプレハブ工法のメーカーの建築期間は非常に短い。
- 工務店
-
プロジェクトによって建築期間にばらつきがある。地元の状況に応じた柔軟な対応が可能。細かなカスタマイズを求める場合は、多少の時間を要することがある。
- 設計事務所
-
デザインや品質にこだわるため、建築期間が長くなる傾向にある。独創的な家を建てたい、時間をかけて丁寧に進めたい場合に適している。
手間で比較する
- ハウスメーカー
-
建築プロセスが一定のため、施主が関わる手間は最小限。シンプルかつ迅速に家づくりを進めたい人に適している。
- 工務店
-
顧客の細かな要望に応じ、一つ一つ仕様を決めていくため、打ち合わせや調整の手間がかかる。しかし、その分だけ自分の理想とする家を実現できる。
- 設計事務所
-
デザインの初期段階から施工管理まで、顧客が密接に関わる必要がある。手間はかかるが、完全にオーダーメイドの家を建てることができる。
家づくりを成功させるポイント
家づくりは一生に一度の大きな投資です。失敗を避け、満足のいく結果を得るためには、事前の準備と情報収集が重要です。特に次の3つポイントを押さえましょう。
- 複数社から見積もりを取る
- 実例や口コミの活用
- 長期的な視点を持つ
他にも重要な点はありますが、まずはこのあたりの意識を強く持つことで家づくりの成功へと近づけます。
複数社から見積もりを取る
家づくりだけでなく、リフォームやリノベーションでは、複数社から見積もりを取ることは非常に重要です。
コストの相場感を把握し、最もコストパフォーマンスの高い事業者を選択することができます。
比較を行うためにも、ハウスメーカー、工務店、設計事務所とそれぞれに同じ条件で見積もりを依頼し、提案内容やコスト、サービスを比較検討します。
もちろん、気に入ったメーカーがいくつかあれば、その3種類にこだわる必要はありません。
ただし、見積もりだけでなく、提案されたサービスの質や事業者の信頼性も考慮することが重要です。
実例や口コミの活用方法
過去の実例は、事業者の技術力やデザインの実績を確認する上で有効な情報源です。実際に建てられた家を見ることで、仕上がりの品質やデザインの感覚を把握できます。
このとき、モデルハウスではなく完成見学会やOB訪問といった、実際に建てた人の家を訪問するチャンスを狙いましょう。ハウスメーカーや工務店では定期的に開催されています。
口コミや評判は、事業者の顧客対応やアフターサービスの質を判断する上で役立ちます。特に、実際に建てた人の意見が最も有益です。
注意が必要なのは、インターネット上の住宅関連フォーラムやSNSは基本的にネガティブな意見に偏りがちです。リアルな意見を集めるのには適していますが、余りに偏った意見は、書き込み主が全面的に悪い可能性もあります。
良い口コミ、悪い口コミともに注意を払い、惑わされすぎないように注意しましょう。
長期的な視点を持つこと
家づくりは、現在のニーズを満たすだけでなく、将来的なライフスタイルの変化にも対応できるよう計画する必要があります。
例えば、家族構成の変化や老後の生活を見据えたバリアフリー設計など、長期的な視点での計画が求められます。
家は建てた後も維持管理が必要です。長期にわたり快適に暮らすためには、定期的なメンテナンスや、時代に合わせたアップグレードを考える必要があります。そのため、初期の計画段階から、メンテナンスのしやすさや将来の改修の可能性も考慮に入れるべきです。
これらのポイントを抑えることで、家づくりを成功に導き、長期にわたり満足のいく住まいを実現できます。
まとめ|あなたのニーズにあったものを選ぼう
家を建てる過程は、多くの選択と決断を伴います。その中でも、どこの業者で家を建てるかはその中でも特に重要な部分です。
本記事では、ハウスメーカー・工務店、設計事務所で家を建てた際の違いやメリット・デメリットを解説しました。
また、コスト、デザイン、柔軟性、品質、スピード、手間といった観点から比較し、自分のニーズに最も合った選択をするためのポイントを紹介しました。
最適な建築パートナーを見つけるためには、自分の価値観とニーズを明確にし、それを満たすことができる企業を選択することが重要です。
本記事が、皆様が理想の家を建てるための参考になれば幸いです。