安定した室内環境を維持する住宅の設計する際、「アクティブデザイン」と「パッシブデザイン」の2つのアプローチがあります。
- アクティブデザイン:先進のシステムや家電を用いることで室内環境を安定させる手法
- パッシブデザイン:自然な要素を活用して快適な環境を作り出す手法
どちらの手法にもメリットやデメリットがあります。
そして、住宅を設計する際には2つを組み合わせることでそのメリットを最大化し、デメリットを打ち消し合うことができます。
この記事では、アクティブデザインとパッシブデザインについて解説し、両者を組み合わせることで得られるメリットについて紹介します。
- 先進装備で快適さを得るアクティブデザインの概要
- 自然の力で快適にするパッシブデザインとの比較
- アクティブデザインとパッシブデザインを融合させることのメリット
住宅を設計する際には、快適性だけでなく、環境に配慮した設計が求められます。しかし、それらを両立することは簡単ではありません。
アクティブデザインとパッシブデザインを組み合わせることで得られるメリットを理解し、より快適で環境に配慮した新築を考えてみましょう。
▼ パッシブデザインについて知る
アクティブデザインとは先進技術による住まいの快適さを得る方法
アクティブデザインを考える際のキーワードは、
- 先進的なテクノロジー
- システム化
- 高効率
この3つが重要!
アクティブデザインの概要と特徴
アクティブデザインとは、建物の内部環境を快適に保つために積極的に設備をコントロールする設計手法です。
空調システムや照明設備、換気設備、家電などがアクティブデザインの要素として挙げられます。
パッシブデザインとは異なり、先進的な設備を駆使することで快適性や省エネを実現することが特徴です。
- 高効率空調システム
- 熱交換機能付き第一種換気システム
- 太陽光発電システム
- エコキュートやエネファームなどの高効率給湯システム
など
アクティブデザインの目的
アクティブデザインの主な目的は、建物内部の環境を人工的にコントロールすることで、快適な居住環境を実現することです。さらに、省エネを実現することで、電力消費量を削減し、環境にやさしい住宅を実現することも目的としています。
さらにアクティブデザインによって、快適な環境を維持することが更なる目的です。
居住者が快適な環境で生活することができるため、健康維持や生産性の向上につながります。また、省エネを実現することで、CO2排出量の削減やエネルギー費用の削減につながり、環境負荷の低減にもつながります。
パッシブデザインとは自然エネルギーを活用した建築手法
パッシブデザインの概要と特徴
パッシブデザインとは、建築物の外皮強化や設備の自然エネルギーを利用することで快適な居住環境を実現する設計手法のことです。
建物に入ってくる日射や熱、風などの自然エネルギーを最大限に利用することで、居住環境を快適に保つとともに、省エネ効果も期待できます。
パッシブデザインでは、建築物の向きや形状、窓の位置や大きさ、断熱材や遮熱材の使用、自然換気などの工夫が重要となります。
- 太陽光・太陽熱
- 自然風
- 地熱
など
設備機器の設置や運転コストが最小限にできるため、ランニングコストを抑えることができます。
また、外部からの自然エネルギーの利用が前提となるため、地球環境に配慮した設計手法であるとも言えます。
パッシブデザインの目的
パッシブデザインの主な目的は、建築物が自然エネルギーを最大限に活用し、快適な居住環境を実現することです。
建物の外皮や窓、通風などの自然環境を利用することで、熱や光、風などの自然エネルギーを効果的に利用し、快適な環境を実現することができます。
また、省エネルギー効果を期待できることも、パッシブデザインの主な目的の一つです。
アクティブデザインとパッシブデザインの比較
アクティブデザインとパッシブデザインの比較
アクティブデザインは、空調システムや照明設備、冷暖房設備、家電などを活用することで快適な環境を実現します。
対して、パッシブデザインは、太陽光の利用や断熱性能の向上、風通しの良さなど、自然環境と建物自体の性質を活かして環境をコントロールすることを目的としています。
アクティブデザインとパッシブデザインのメリット・デメリット
アクティブデザインの長所と短所としては、以下のような点が挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
室内環境をより正確にコントロールできる 必要に応じて室内環境を変化させることができる | 設備を活用することで、電気代が高くなってしまう 設備の故障により快適な環境が得られなくなる可能性がある |
パッシブデザインのメリット・デメリット
パッシブデザインの長所と短所としては、以下のような点が挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
電力消費が少なく省エネ 環境への負荷が少ない。 設備のメンテナンスが少なく低ランニングコスト 設備による騒音や振動が少ない | 外気の影響を受けやすいため設計が難しい 建物の立地によって効果が異なる 適切な換気が確保されないと空気の質が悪くなりやすい |
いずれにしても、メリットとデメリットが存在します。
建築物の設計や運用にあたっては、その目的や用途に応じて適切な手法を選択することが重要です。
アクティブデザインとパッシブデザインを融合するメリット
建物の内部環境を快適に保つために、アクティブデザインとパッシブデザインを組み合わせることでメリットが最大化できます。
アクティブデザインは、設備を駆使して快適性や省エネを実現する手法であり、パッシブデザインは、建物の形状や材料、自然エネルギーの活用などによって快適性や省エネを実現する手法です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
アクティブ デザイン | 室内環境をより正確にコントロールできる 必要に応じて室内環境を変化させることができる | 設備を活用することで、電気代が高くなってしまう 設備の故障により快適な環境が得られなくなる可能性がある |
デザイン パッシブ | 電力消費が少なく省エネ 環境への負荷が少ない 設備のメンテナンスが少なく低ランニングコスト 設備による騒音や振動が少ない | 外気の影響を受けやすいため設計が難しい 建物の立地によって効果が異なる 適切な換気が確保されないと空気の質が悪くなりやすい |
こちらの表を見ていただくと分かるのが、「アクティブデザインのデメリット」は「パッシブデザインのメリット」で互換することができます。
そして逆も同じです。
アクティブデザインとパッシブデザインを融合する理由と効果
アクティブデザインとパッシブデザインの組み合わせによって、より高い快適性と省エネ効果が実現されます。
例えば、夏場の室温を快適な範囲に保つため、パッシブデザインでできることは次のことです。
- 日差しが強い時間帯は、庇(ひさし)やすだれで日射を遮り、室内の温度が高くなるのを防ぐ。
- 建物の外壁に高性能な断熱材を使用することで外の熱を遮り、室内の冷気を外部に逃がさないようにする。
逆に冬場であればどうでしょうか?
- 日差しのある昼間は、積極的に太陽を取り込んで熱を室内に入れる。
- 建物の外壁に高性能な断熱材を使用することで外の冷気を遮り、室内の熱を外部に逃がさないようにする。
このようなパッシブデザインによる取り組みにプラスして、冷暖房機器や照明の自動制御システムなどのアクティブデザインを組み合わせるとどうなるのか?
答えは、より少ないエネルギーで快適な環境を実現できます。
要は省エネ化できるってことね!
パッシブデザインのみでは、外気温が急激に変化した場合や夜間など、快適な室内環境を維持することが難しくなる場合があります。
アクティブデザインは高効率かつシステマティックな暖房設備を組み合わせることで室内環境を維持できますが、適切に設定しないと消費エネルギーが多くなってしまう可能性があります。
両者を組み合わせる。例えば、パッシブデザインで遮熱・断熱性を高めておけば、アクティブデザインでの冷暖房システムの設備投資と運用コストを削減できます。
また、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを取り入れたり、照明設備や家電製品の省エネ化を図ったりすることで、最小限のエネルギーでよりエコロジカルな建物に仕上げることも可能です。
このように、
のです。
まとめ:アクティブデザインとパッシブデザインは融合させるのがベスト
本記事では、住宅設計においてアクティブデザインとパッシブデザインを組み合わせることが最適であることを紹介しました。
アクティブデザインで快適な環境を得るのは比較的楽ですが、経済面、地球環境への負荷などに影響を与えることがあります。
パッシブデザインは、自然光や風、太陽の角度などをうまく活用することで、エネルギー効率を高めることができます。
アクティブデザインの欠点をパッシブデザインを組み合わせることで克服でき、住宅の機能性と快適性を向上させながら、省エネルギー化を図ることができます。
「アクティブデザイン」と「パッシブデザイン」の両方を考えて設計するのが重要なんだ!
- アクティブデザインとパッシブデザインの違いは何ですか?
-
アクティブデザインは、先進のシステムや家電で積極的に室内環境を整える手法です。
一方、パッシブデザインは、建物の自然な環境を利用して快適性を確保する設計です。 - 住宅でアクティブデザインとパッシブデザインを組み合わせるとどのようなメリットがありますか?
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アクティブデザインとパッシブデザインを組み合わせることで、それぞれのデメリットを補うことができ、環境、健康、光熱費の面でもメリットが得られます。
- アクティブデザインやパッシブデザインを導入することで、どの程度のコスト削減が期待できますか?
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建物の規模や設計によって異なりますが、省エネ性が高まることでエネルギーコストが削減されるため、中長期的には大きなコスト削減が期待できます。