優れた断熱性と吸放湿性を持つ天然素材で、断熱材やカーペット、壁材などに使われます。調湿性・難燃性があり、室内環境を快適に保つ性能に優れています。防虫処理を施さないと虫害のリスクがありますが、自然素材として健康・環境志向の住宅で人気があります。再生可能なエコ素材としても注目されています。
名称 | 羊毛(ウール) |
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大分類 | 繊維・布・紙系 |
小分類 | 天然繊維 |
特徴 | ヒツジの毛から採取される動物性天然繊維(主成分はケラチンタンパク質)。弾力性と断熱性に優れる |
肌目 | 表面は柔らかくふんわりとした質感。調湿性と保温性があり、暖かみのある風合いが特長 |
用途 | 断熱材(ウールブレスなど)、吸音材、カーペット、壁材、自然素材住宅の内装材など。防音・断熱・調湿・脱臭効果を持つ |
産地・メーカー | 原産国はオーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど。日本では輸入された原毛を使い、北海道や長野で一部製品化されている |
羊毛(ウール)の概要・特徴
羊毛(ウール)は、その名の通り羊の毛から作られる天然繊維です。建築材料としては、主にシート状やマット状に加工された高性能な断熱材として利用されます。
最大の特徴は、非常に優れた調湿性能です。ウールの繊維は、湿気が多い時には湿気を吸収し、乾燥している時には湿気を放出するという「呼吸する」ような性質を持っています。これにより、室内の湿度を安定させ、結露の発生を抑制します。
また、繊維が複雑に縮れている(クリンプしている)ため、内部に多くの空気を含むことができ、高い断熱性を発揮します。さらに、シックハウス症候群の原因となる化学物質を吸着・分解する効果や、自然に燃え広がりにくい「難燃性」も併せ持つ、多機能な自然素材です。
羊毛(ウール)のメリットとデメリット
メリット
- 最高の調湿性能:結露を効果的に防ぎ、カビやダニの発生を抑制します。これにより、家の構造材を湿気から守り、建物の耐久性を高めることにも繋がります。
- 高い断熱効果:多くの空気層が、夏は外の熱の侵入を、冬は室内の熱が逃げるのを防ぎ、一年を通して快適な室内環境を保ちます。
- 優れた安全性:自然素材であることに加え、万が一火災にあっても燃え広がりにくく、有毒ガスの発生も少ないです。施工時にチクチクしないため、作業者にも優しい素材です。
- 空気をきれいにする効果:ホルムアルデヒドなどの有害な化学物質を吸着し、無害なものに分解する能力があると言われています。
デメリット
- 非常に高価:グラスウールなどの一般的な断熱材と比較して、材料費も施工費も格段に高くなります。
- 虫害のリスク:天然のタンパク質繊維のため、防虫処理が必須です。建材として使われる製品は、人体に安全なホウ酸などで防虫処理が施されています。
- 水濡れに注意が必要:大量の水に濡れると乾きにくく、断熱性能が低下する可能性があります。施工管理には注意が必要です。
- 取り扱い業者が少ない:高性能ですが、特殊な断熱材であるため、採用経験のある工務店や業者が限られます。
羊毛(ウール)の用途
羊毛は、その優れた性能から、主に健康や快適性にこだわる住宅の断熱材・吸音材として使用されます。
- 壁の断熱材:外壁に面した壁や、部屋を仕切る壁の中に充填します。断熱だけでなく、生活音の響きを和らげる吸音効果も期待できます。
- 天井・屋根裏の断熱材:天井裏に敷き込むことで、屋根からの熱の出入りを効果的に防ぎます。
- 床下の断熱材:床下から伝わる冷気をシャットアウトし、冬場の足元の冷えを和らげます。