塩化ビニル樹脂を表面に使用した壁紙で、最も一般的かつ低コストな内装材です。耐水性・防汚性に優れ、お手入れがしやすいため、住宅・店舗・施設など幅広く使用されています。色柄や質感のバリエーションが非常に豊富で、デザイン性にも対応できます。下地の影響を受けにくく施工性も高い一方、通気性や調湿性には乏しく、結露対策には向きません。
名称 | ビニールクロス |
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大分類 | 繊維・布・紙系 |
小分類 | 用途別素材 |
特徴 | 塩化ビニル樹脂を基材(紙や不織布)にコーティング・印刷加工した壁紙。表面にエンボスやプリントで多彩なデザインが施されている |
肌目 | 表面はつや消しまたはやや光沢のある質感で、凹凸(エンボス)加工や木目・石目・織物調など多彩な意匠が可能 |
用途 | 住宅・マンション・商業施設の内装壁・天井仕上げ材として広く使用。施工性・メンテナンス性・価格のバランスに優れ、最も普及している壁紙 |
産地・メーカー | 日本ではサンゲツ、リリカラ、シンコール、トキワ、ルノンなどが主要メーカー。国内工場で製造され、全国に流通している |
ビニルクロスの概要・特徴
ビニルクロスは、正式には「塩化ビニル樹脂系壁紙」と言い、PVC(ポリ塩化ビニル)を主原料として作られたシート状の壁紙です。日本の住宅で使われる壁紙の9割以上を占める、最もポピュラーな内装仕上げ材です。
紙などの裏打ち材の上に塩化ビニル樹脂の層を貼り合わせ、表面に様々な色や柄を印刷したり、凹凸模様(エンボス加工)を施したりして作られています。
最大の特徴は、安価でデザインが非常に豊富なことです。木目調や石目調、織物調といった多彩なデザインに加え、汚れ防止や抗菌、消臭といった機能性を持たせた製品も多く、あらゆる場所やニーズに対応できる汎用性の高さが魅力です。
ビニルクロスのメリットとデメリット
メリット
- コストパフォーマンスが非常に高い:大量生産が可能で、他の壁紙(布クロスや紙クロスなど)に比べて材料費も施工費も安価です。
- デザイン・機能が豊富:色、柄、質感のバリエーションが非常に多く、好みのインテリアに合わせやすいです。また、防水、防カビ、消臭など、部屋の用途に合わせた機能を選べます。
- メンテナンスが容易:表面がビニールでコーティングされているため、水拭きや中性洗剤を使った拭き掃除が可能です。汚れに強く、お手入れが簡単です。
- 施工性が良い:比較的丈夫で扱いやすく、多くの職人が施工に慣れているため、工期が短く済み、安定した仕上がりが期待できます。
デメリット
- 質感が人工的:布クロスや塗り壁などの自然素材と比べると、どうしてもビニール特有の人工的な質感になります。
- 通気性・調湿性はない:湿気を通さないため、室内の湿度調整機能は期待できません。結露の原因になる可能性もあります。
- 継ぎ目が目立ちやすい:施工後、年数が経つとクロスの収縮によって、壁紙と壁紙のつなぎ目(ジョイント)が開いてきたり、剥がれてきたりすることがあります。
- 化学物質を含む:製品を柔らかくするための可塑剤などを含みます。近年の製品は、健康への安全基準(F☆☆☆☆など)をクリアしていますが、化学物質に敏感な方は注意が必要です。
ビニルクロスの用途
ビニルクロスは、その優れた汎用性と機能性から、住宅のほぼ全ての場所で壁・天井の仕上げ材として使用されています。
- 居室(リビング、ダイニング、寝室、子供部屋など):デザインの豊富さを活かし、部屋の雰囲気に合わせて様々な製品が使われます。
- 水まわり(キッチン、洗面所、トイレ):汚れ防止や防カビ、抗菌機能を持ったビニルクロスが特に適しています。
- 収納内部(クローゼット、納戸):コストを抑えつつ、清潔感を保つために標準的に使用されます。