液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法で、継ぎ目がなく複雑な形状にも対応可能です。弾性があり、下地の動きに追従しやすいため、改修工事にも多く用いられます。比較的軽量で施工性も高いですが、均一な厚みを確保するには施工者の技術が求められます。耐用年数は10~15年程度です。
名称 | ウレタン防水 |
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大分類 | 防水・断熱材 |
小分類 | - |
特徴 | ポリウレタン樹脂を主成分とした液状の防水材。現場で塗布して硬化させ、継ぎ目のないシームレスな防水層を形成する |
肌目 | なめらかで均一な塗膜仕上げ。ツヤありまたはマットに調整可能。トップコートで色味や防滑性を加えることも |
用途 | ビル・住宅の屋上・バルコニー・ベランダ・廊下・屋根など。複雑な形状の下地にも施工可能で、改修工事や補修にも適する |
産地・メーカー | 日本では田島ルーフィング、AGCポリマー建材、オート化学工業、ダイフレックスなどが製造。全国の防水施工業者が現場調合・施工を行う |
ウレタン防水の概要・特徴
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を、建物の屋上やバルコニーの床などにコテやローラーで塗り広げ、化学反応によって硬化させてゴム状の防水層を作る工事のことです。
最大の特徴は、液状の材料を塗って仕上げるため、どんなに複雑な形状の場所でも、継ぎ目のないシームレスな防水層を作ることができる点です。これにより、高い水密性を確保できます。
また、硬化後の防水層はゴムのような弾力性を持つため、建物のわずかな揺れや、コンクリートの伸縮にも追従し、ひび割れが起きにくいという大きなメリットがあります。日本の住宅のバルコニー防水では、最も一般的に採用されている工法の一つです。
ウレタン防水のメリットとデメリット
メリット
- 複雑な形状に対応可能:液状の材料なので、配管の根元や、凹凸のある場所など、シート防水では難しい場所でも、きれいに施工することができます。
- 継ぎ目のない防水層:塗り重ねて仕上げるため、シート防水のようなジョイント部分がなく、水が浸入するリスクを低減できます。
- 軽量で建物への負担が少ない:塗膜による防水なので、アスファルト防水などに比べて非常に軽く、木造住宅にも適しています。
- コストパフォーマンスが高い:比較的安価で、既存の防水層の上から重ねて塗ることもできるため、リフォームにも適しています。
デメリット
- 職人の技術に品質が左右される:手作業で塗るため、均一な厚みを確保するのが難しく、職人の腕前によって防水層の品質が大きく変わります。
- 乾燥期間が必要:塗った後に、硬化するまでの乾燥時間が必要です。その間は雨に濡らすことができないため、天候に工期が左右されやすいです。
- 紫外線に弱い:ウレタン樹脂自体は紫外線に弱いため、防水層を保護するためのトップコート(保護塗装)を定期的に(5年程度を目安に)塗り替える必要があります。
- 施工時の臭気:溶剤(シンナー)を使用するタイプのウレタン防水では、施工中に強い臭いが発生します。
ウレタン防水の用途
ウレタン防水は、その施工性の良さとコストパフォーマンスから、様々な建物の防水工事で広く使われています。
- 住宅のバルコニー・ベランダ:最も代表的な用途です。
- マンションやビルの屋上:平らな陸屋根(りくやね)の防水工事として、アスファルト防水やシート防水と並んで多く採用されます。
- 開放廊下・屋外階段:マンションなどの共用部分の床にも、その防水性と歩行性が評価され使われます。