柔軟性と耐摩耗性、断熱性に優れ、塗料・断熱材・シーリング材など多用途に用いられます。建築ではウレタンフォームとして壁や屋根の断熱材に広く使われています。吹き付け施工が可能で、複雑な形状にも対応しやすいのが特徴です。湿気に弱い面があるため、施工時の管理が重要です。
名称 | ウレタン樹脂 |
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大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 熱硬化性樹脂 |
特徴 | イソシアネートとポリオールを主成分とするポリウレタン系の合成樹脂。発泡体・塗料・接着剤など、形態に応じて幅広く利用可能 |
肌目 | 形状によって異なるが、塗膜はややツヤがあり、なめらかで柔軟性がある。発泡体はスポンジ状または断熱材として使用される |
用途 | 床・壁・屋上の防水材、ウレタン塗装仕上げ、断熱材(硬質ウレタンフォーム)、接着剤、建具の表面仕上げなど多岐にわたる |
産地・メーカー | 日本では三井化学、旭化成、BASFジャパン、東レなどが主要メーカー。建材用途では塗料・断熱材メーカーが多く展開 |
ウレタン樹脂の概要・特徴
ウレタン樹脂は、正式には「ポリウレタン樹脂」と呼ばれます。その最大の特徴は、硬いプラスチックのようなものから、ゴムのように弾力のあるもの、スポンジのように柔らかいものまで、非常に幅広い性質を持つことです。
この多様性により、家づくりの世界では、断熱材、防水材、シーリング材(コーキング材)、塗料、接着剤など、全く異なる用途で姿を変えて活躍しています。
建材としては、特にゴムのような弾力性(伸縮性)と、下地にしっかりと密着する性能、そして発泡させることで得られる高い断熱性能が、様々な場面で重宝されています。
ウレタン樹脂のメリットとデメリット
メリット
- 優れた弾力性と密着性:ゴムのように伸び縮みするため、建物の揺れや部材の伸縮によく追従します。防水材やシーリング材として使うと、ひび割れが起きにくいという利点があります。
- 高い断熱性能:発泡させた「硬質ウレタンフォーム」は、非常に高い断熱効果を持ちます。特に、現場で直接吹き付けて施工するタイプは、隙間なく家を断熱材で覆うことができます。
- シームレスな施工が可能:液状の材料を塗って仕上げる防水材や塗料として使う場合、継ぎ目のない美しい防水層や塗膜を作ることができます。
- 用途の広さ:求められる性能に合わせて硬さや性質を調整できるため、一つの素材が多岐にわたる用途で使われています。
デメリット
- 紫外線に弱い:屋外で太陽光に長時間さらされると、性能が低下したり、硬くなったりします。そのため、防水材やシーリング材として使う場合は、表面を保護するためのトップコート塗装が必須です。
- 施工品質に左右される:特に現場で液体を扱う防水工事や吹き付け断熱工事は、職人の技術力やその日の気温・湿度によって仕上がりの品質が大きく変わります。
- コストが比較的高め:他の材料に比べ、特に高性能なウレタン製品は価格が高くなる傾向があります。
ウレタン樹脂の用途
ウレタン樹脂は、その多機能性から、住宅の様々な場所で重要な役割を担っています。
- 防水材(ウレタン防水):バルコニーや陸屋根(平らな屋根)の防水工事で、最も一般的に使われる工法の一つです。
- 断熱材(硬質ウレタンフォーム):板状の製品や、現場で壁の中や屋根裏に直接吹き付けて施工する「現場発泡ウレタン」として、家の断熱性能を高めます。
- シーリング材(コーキング材):外壁サイディングの目地(継ぎ目)や、サッシまわりの隙間を埋める充填材として使われます。
- 塗料:木製のフローリングや家具の表面を保護する「ウレタン塗装(ウレタンクリアー)」として。硬い塗膜で傷や汚れを防ぎます。