3枚のガラスと2層の中空層をもつ高断熱ガラスで、ペアガラスよりもさらに断熱・遮音効果が高いです。寒冷地や高性能住宅に多く採用され、冷暖房負荷を大幅に軽減できます。重量があり、サッシや施工の強度確保が必要です。価格は高めですが、快適性と省エネ効果に優れます。

名称トリプルガラス
大分類ガラス・透明素材
小分類 機能ガラス
特徴 3枚のガラスの間に乾燥空気やアルゴン・クリプトンガスを封入し、2つの中空層を持つ高性能複層ガラス。Low-E膜を1〜2面に配置することで断熱性を強化
肌目 通常のガラスより厚みがあり、縁に2列のスペーサーが見える。見た目はペアガラスとほぼ同じだが、重厚感がある
用途 寒冷地・高性能住宅(HEAT20 G2〜G3、パッシブハウス)向けの窓・サッシ。断熱性・遮音性・結露抑制性能が非常に高い
産地・メーカー 日本ではAGC、日本板硝子、YKK AP、LIXILなどが製造・供給。北海道・東北を中心に、全国の高性能住宅で採用が進む

トリプルガラスの概要・特徴

トリプルガラスは、その名の通り3枚の板ガラスを組み合わせた、非常に高い性能を持つ複層ガラスです。ペアガラス(2枚ガラス)の、さらなる上位互換として位置づけられています。

3枚のガラスの間に2つの「中空層(ちゅうくうそう)」があり、この二重の空気の壁が、ペアガラスをはるかに上回る圧倒的な断熱性能を発揮します。この性能は、熱の出入りが最も大きい「窓」の弱点を克服し、家全体の快適性と省エネ性能を劇的に向上させます。

製品のほとんどは、2つの中空層に空気よりも熱を伝えにくい「アルゴンガス」や「クリプトンガス」が封入されており、ガラス表面には特殊な金属膜をコーティングした「Low-E(ローイー)ガラス」が2枚以上使われているのが標準です。これにより、最高レベルの断熱性を実現しています。

トリプルガラスのメリットとデメリット

メリット

  • 最高レベルの断熱性:ペアガラスを大きく上回る断熱性能で、外の暑さ・寒さの影響をほとんど受けません。これにより、冷暖房効率が飛躍的に向上し、光熱費の大幅な削減に繋がります。
  • 結露をほぼ完全に防ぐ:ガラス表面が外気の影響を受けにくいため、極めて結露しにくいです。カビやダニの発生リスクを最小限に抑え、非常に健康的な室内環境を維持します。
  • 優れた快適性:冬場でも窓際に近づいてもヒヤッとせず、夏場も窓からの熱気を感じにくいため、窓際まで快適な居住スペースとして活用できます。
  • 高い遮音性:ガラスが3枚あることで、外部の騒音を大幅に軽減し、非常に静かな室内環境を実現します。

デメリット

  • 非常に高価:ペアガラスに比べて、材料費・施工費ともに高額になります。住宅全体のコストアップの大きな要因となります。
  • 非常に重い:ガラスが3枚あるため、ペアガラスよりもさらに重くなります。開け閉めの際に重さを感じることがあり、サッシや建物の構造にも高い強度が求められます。
  • 日射取得率が下がる:高性能な分、冬場に窓から取り入れたい太陽の暖かい日差しもカットしてしまうため、日射による暖房効果はペアガラスより低くなります。

トリプルガラスの用途

トリプルガラスは、主に最高の断熱性能を追求する住宅で採用されます。

  • 高性能住宅(高気密・高断熱住宅):家の性能を最大限に高めたい場合に、標準的に採用されます。特に、国が定める省エネ基準の上位等級を目指す住宅には不可欠です。
  • 寒冷地・厳寒地:冬の寒さが非常に厳しい地域では、暖房効率を維持し、快適な室温を保つために絶大な効果を発揮します。
  • 大開口の窓:リビングなどに大きな窓を設置する場合、熱の出入りも大きくなるため、トリプルガラスにすることで快適性を損なわずに開放的な空間を実現できます。