チタンとは非常に軽くて強度が高く、さびにくい金属です。耐久性や耐食性に優れており、海沿いの建物や外装材によく使われます。金属特有の光沢があり、経年による変色も少ないため、美観を保ちやすいのも特徴です。価格は高めですが、その分、長寿命です。
名称 | チタン |
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大分類 | 金属 |
小分類 | 非鉄金属 |
特徴 | 金属元素チタン(Ti)。軽量で高強度。錆びにくく、耐食性が極めて高い。 |
肌目 | 金属光沢があり、表面はなめらか。酸化処理により青・紫・金など多彩な発色が可能。 |
用途 | 屋根材、外壁材、雨樋、装飾パネル、モニュメント、橋梁部材など。耐久性が求められる建築部位に適する。 |
産地・メーカー | 原料のチタン鉱石はオーストラリア、南アフリカ、ロシアなどで産出。日本国内でも製品化されており、神戸製鋼所などが代表的なメーカー。 |
チタンの概要・特徴
チタンは、航空宇宙産業や医療分野(インプラントなど)で使われることで知られる、非常に高性能な金属です。建材としては、その性能の高さから「究極の建材」とも呼ばれますが、一般の住宅で使われることは極めて稀な、最高級の素材です。
最大の特徴は、「軽い」「強い」「錆びない」という三つの優れた性質を、非常に高いレベルで兼ね備えている点です。重さは鉄の約60%と軽量でありながら、強度は鉄と同等以上。そして、耐食性(錆びにくさ)はプラチナ(白金)に匹敵すると言われ、特に潮風にさらされる沿岸部でも、その性能はほとんど劣化しません。
また、表面の酸化皮膜の厚みを電気的にコントロールすることで、塗装をせずに様々な色(干渉色)を表現できるという、独特の意匠性も持っています。
チタンのメリットとデメリット
メリット
- 圧倒的な耐食性:海水をはじめ、ほとんどの環境で錆びることがありません。塩害地域でも安心して使用でき、半永久的な耐久性を誇ります。
- 軽量かつ高強度:軽いことで建物への負担を減らし、耐震性を向上させます。また、強度が高いため、薄くても十分な性能を発揮します。
- メンテナンスフリー:塗装などのメンテナンスが一切不要で、長期的な維持管理コストを考える必要がありません。
- 優れた意匠性:独特の落ち着いた銀灰色の輝きや、技術によって生み出される豊かな色彩は、唯一無二の高級感を建物に与えます。
デメリット
- 極めて高価:材料費、加工費ともに他の建材とは比較にならないほど高額です。ステンレスや銅よりもはるかにコストがかかります。
- 加工が非常に難しい:非常に硬く、粘りがある材料のため、切断や曲げ、溶接といった加工には、高度な専門技術と特殊な設備が必要です。
- 施工できる業者が限られる:特殊な材料であるため、チタン建材の施工経験を持つ業者は非常に少なく、誰でも扱えるわけではありません。
チタンの用途
チタンは、その圧倒的な性能とコストから、主に国家的なプロジェクトや、後世に残すことを目的とした象徴的な建築物で採用されます。
- 屋根材:神社仏閣(例:浅草寺の屋根瓦)、美術館、博物館、ドーム球場など、メンテナンスが困難で、超長期の耐久性が求められる建物の屋根。
- 外壁材・モニュメント:ビルの外装パネルや、屋外のモニュメントなど、建物の顔となる部分。
- その他:一般住宅では、コストを度外視してでも最高のものを求める場合に、特注の表札や装飾金物として、ごく限定的に使われることがあります。