構造用合板とは、複数の木材を接着剤で貼り合わせた板で、強度と耐久性に優れています。耐震性や耐風性が高く、家の壁や床、屋根の下地材として使われます。反りや割れが少なく、安定した品質が特徴です。コストパフォーマンスにも優れており、住宅建築で広く利用されています。
名称 | 構造用合板 |
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大分類 | 木材 |
小分類 | 合板・集成材 |
特徴 | 複数の木材単板(ベニヤ)を、木目の方向が交差するように貼り合わせた木質材料。強度を高めるため奇数枚で構成される。 |
肌目 | 表面は比較的粗く、木目や節が見える。仕上げ材ではないため、美観より強度・機能性重視。 |
香り | 原料が針葉樹のため、木の香りが感じられることがある。接着剤のにおいが残る場合もある。 |
用途 | 主に建築の耐力壁、床、屋根下地として使用。構造強度が必要な箇所に使われる。仮囲いや足場板にも。 |
産地・メーカー | 日本国内では北海道から九州まで広く生産。代表的な生産地は茨城、福島、宮崎、大分など。輸入品も多く、東南アジア産(ラワン系)なども流通している。 |
構造用合板の概要・特徴
構造用合板とは、その名の通り、建物の構造的な強度を高めることを目的に作られた合板の一種です。
通常の合板と同じく、木材を薄くスライスした単板(ベニヤ)を繊維方向が互い違いになるように重ねて作られますが、JAS(日本農林規格)によって接着性能や強度などの品質が厳しく規定されているのが大きな特徴です。
主な役割は、柱や梁といった「線」の部材で構成される骨組みに、この構造用合板という「面」を固定することで、建物全体を一体的な箱のように固めることです。これにより、地震の揺れや台風の風圧といった横からの力に対して、非常に高い抵抗力を発揮します。
一般的に、見た目の美しさよりも性能が重視されるため、壁や床、屋根の「下地材」として使われ、完成すると見えなくなる部分で建物の安全性を支えています。
構造用合板のメリットとデメリット
メリット
- 高い耐震性・耐風性:建物を「面」で支えることで、筋交いに比べて非常に高い水平剛性を得られます。
- 施工性が高い:大きなパネル状になっているため、広い面積を効率的かつ均一な強度で施工できます。
- 品質が安定している:工業製品であるため品質にばらつきが少なく、設計通りの強度を確実に確保できます。
- 優れたコストパフォーマンス:高い耐震性能を比較的安価なコストで実現できます。
デメリット
- 湿気に弱い:施工中に雨に濡れたり、壁内で結露が発生すると接着剤が剥がれて強度が低下する可能性があります。
- 透湿性が低い:湿気を通しにくいため、壁内結露のリスクが高まり、適切な通気対策が必要です。
- 接着剤の化学物質:ホルムアルデヒドなどの放散が懸念されますが、現在は放散量の少ない「F☆☆☆☆」等級の製品が義務付けられています。
構造用合板の用途
構造用合板は、現代の木造住宅において不可欠な材料として、主に以下の3つの場所で使われます。
- 耐力壁:外周部や間仕切り壁に張り付けることで地震や風の力を受け止める「耐力壁」を形成します。
- 床(剛床工法):2階床梁の上に直接張ることで床全体を一体化し、建物のねじれを防ぎます。
- 屋根(野地板):屋根垂木の上に張り、屋根面を固めた上に防水材や屋根材を施工します。