磁器質と陶器質の中間的な性質を持ち、適度な吸水性と強度があります。内外装どちらにも使われ、落ち着いた風合いが特徴です。磁器質より柔らかいため加工しやすく、幅広いデザインに対応できます。特にナチュラルな質感を求める空間に好まれます。
名称 | 炻器質(せっきしつ)タイル |
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大分類 | セラミック・タイル |
小分類 | タイル |
特徴 | 粘土・長石・珪石などを原料とし、1,100〜1,200℃程度の高温で焼成した中硬質のセラミック素材。吸水率は低め(1〜5%程度) |
肌目 | ややざらつきのあるマットな質感が一般的。素朴で落ち着いた風合いが特徴。表面釉薬の有無で表情が異なる |
用途 | 屋内外の壁・床材、浴室、玄関アプローチ、商業施設など幅広く利用。耐摩耗性・耐候性・耐水性に優れる |
産地・メーカー | 国産では岐阜県(多治見・笠原など)が主要産地。タイル産地として伝統がある地域で製造されている |
炻器質(せっきしつ)タイルの概要・特徴
炻器質タイルは、タイルの種類の一つで、「磁器質(じきしつ)タイル」と「陶器質(とうきしつ)タイル」のちょうど中間的な性質を持っています。
タイルは、水をどれくらい吸い込むかという「吸水率」によって分類されますが、炻器質タイルは吸水率が5%以下と比較的低く、適度な硬さを持つのが特徴です。
粘土などを主原料として高温で焼き固められており、素朴で自然な土の風合いを持っています。表面に釉薬(うわぐすり)をかけない「無釉(むゆう)タイル」が多く、色合いもアースカラーが中心です。
炻器質(せっきしつ)タイルのメリットとデメリット
メリット
- 適度な耐久性と耐候性:吸水率が低いため、屋外の厳しい環境や、水分が凍ってタイルが割れる「凍害(とうがい)」にも強く、床材としても十分な強度を持っています。
- 滑りにくい:表面がザラザラとした仕上げのものが多く、水に濡れても滑りにくいため、玄関ポーチやアプローチなどの床に適しています。
- 自然な風合い:土を焼き固めた素朴な質感と、温かみのある色合いが魅力です。ナチュラルで落ち着いた雰囲気を演出できます。
デメリット
- 汚れが付着しやすい:表面に細かな凹凸があるため、ツルツルした磁器質タイルに比べると汚れが付きやすく、掃除に少し手間がかかる場合があります。
- デザインの制限:光沢のある華やかなデザインや、多彩なカラーバリエーションは比較的少なく、素朴なアースカラーが中心となります。
- 色ムラがある:自然の原料から作られるため、焼き物特有の色ムラや、一枚一枚の表情の違いが出やすいです。これを均一でないと見るか、味わいと捉えるかで評価が分かれます。
炻器質(せっきしつ)タイルの用途
炻器質タイルは、その耐久性と滑りにくさ、自然な風合いから、主に屋外や床に使われることが多い建材です。
- 屋外の床:玄関ポーチ、アプローチ、テラス、バルコニーの床など。雨に濡れる場所でも滑りにくく安全です。
- 屋内の床:玄関の土間や、店舗の床など、土足で歩く場所に適しています。
- 壁材:建物の外壁や、室内のアクセントウォールとして使用され、重厚感と温かみのある空間を作り出します。