異なる厚さのガラスや中間膜を使い、音の振動を吸収・遮断するよう設計されたガラスです。複層ガラスや合わせガラスに防音膜を加えた製品が主流です。交通量の多い道路沿い住宅や静かな室内空間が求められる場所に効果的です。遮音性能はdB(デシベル)で表され、用途に応じた選定が重要です。
名称 | 防音ガラス |
---|---|
大分類 | ガラス・透明素材 |
小分類 | 機能ガラス |
特徴 | 2枚のガラスの間に防音中間膜(PVBや特殊樹脂膜)を挟んだ合わせガラス、または厚さの異なる複層ガラス構造が一般的 |
肌目 | 見た目は透明ガラスとほぼ同じ。縁部分に中間膜の層やガラス厚の違いがわずかに確認できることもある |
用途 | 住宅・マンション・オフィス・スタジオ・病院・学校などの開口部(窓・ドア)に使用。外部騒音の侵入を抑える目的で採用される |
産地・メーカー | 国内ではAGC(まどまど防音)、日本板硝子(ソノグラス)、YKK AP、LIXILなどが製品化。全国のサッシメーカーと連携して流通している |
防音ガラスの概要・特徴
防音ガラスは、その名の通り、外部の騒音の侵入や、室内の音漏れを軽減することを目的とした特殊なガラスの総称です。「遮音ガラス」とも呼ばれます。
最も一般的なのは、2枚のガラスの間に防音特殊中間膜という、音の振動を吸収する特殊な樹脂フィルムを挟んだ「合わせガラス」の構造です。音がこの中間膜を通過する際に、音のエネルギーが熱エネルギーに変換されることで、効果的に音を減衰させます。
また、厚みの異なる2枚のガラスを組み合わせた複層ガラスも、防音効果を高める方法の一つです。ガラスは特定の高さの音で共振して音を通しやすい性質がありますが、厚みを変えることで共振する音の高さがずれるため、幅広い音域の騒音を軽減できます。
防音ガラスのメリットとデメリット
メリット
- 優れた遮音性能:車の走行音や電車の音、人の話し声といった、気になる外部の騒音を大幅に軽減し、静かで快適な室内環境を実現します。
- 安全性・防犯性が高い(合わせガラスタイプの場合):万が一割れても破片が飛び散らず、また貫通しにくいため、安全性や防犯性能も同時に向上します。
- UVカット効果(合わせガラスタイプの場合):中間膜が紫外線を99%以上カットするため、家具や床の日焼けを防ぎます。
デメリット
- コストが高い:特殊な中間膜や複雑な構造のため、一般的なガラスに比べて製品の価格は高価になります。
- 重量がある:構造上、ガラスが重くなるため、サッシや建物の構造にも相応の強度が求められます。
- 全ての音に万能ではない:主に中高音域の音(人の声や車の走行音など)に効果を発揮しますが、重低音(大型トラックの地響きなど)に対しては効果が限定的になる場合があります。
- 窓以外の音対策も必要:高い性能を持つガラスを入れても、壁や換気口など、他の部分から音が侵入していては効果が半減します。家全体の防音計画が重要です。
防音ガラスの用途
防音ガラスは、音の問題を解決したい様々な場所で、その性能を発揮します。
- 交通量の多い道路や線路沿いの住宅:自動車や電車の騒音を軽減し、静かな居住空間を確保するため。
- 空港や工場の近くの住宅:飛行機の離着陸音や、工場の稼働音といった特殊な騒音対策として。
- 楽器演奏室・オーディオルーム・ホームシアター:室内の音を外に漏らさないようにすると同時に、外部の雑音をシャットアウトし、趣味に集中できる環境を作るため。
- 寝室・書斎:安眠や集中できる環境を特に重視したい部屋の窓に。