薄く剥がれやすい性質を活かした板状の天然石で、屋根材や外壁、内装の壁材などに使われます。耐水性と耐候性が高く、落ち着いたマットな質感が特徴です。黒やグレーを基調としたモダンな空間に好まれます。踏み面などには適しませんが、装飾用途に向いています。

名称スレート(粘板岩)
大分類石材
小分類 自然石
特徴 粘土や火山灰などが堆積・圧縮されてできた変成岩(粘板岩)。層状に剥がれる性質(劈開性)をもつ天然石材
肌目 表面はマットで落ち着いた質感。層状の凹凸や自然な割肌があり、色は黒・濃灰・緑系が主流
用途 屋根材(天然スレート)、外壁材、床材、内装壁材、テーブルトップなど。耐火性・耐久性が高く、意匠性にも優れる
産地・メーカー 国内では栃木県(那須・日光)や岐阜県などが天然スレートの産地。海外ではスペイン、イギリス、フランスが有名

スレート(粘板岩)の概要・特徴

スレートとは、泥や火山灰などが海底に堆積し、長い年月をかけて圧密されてできた天然の岩石「粘板岩(ねんばんがん)」のことです。

最大の特徴は、木の板のように、層に沿って薄い板状にきれいに剥がれる「劈開(へきかい)」という性質です。この性質を利用して、古くからヨーロッパの教会や城の屋根材として使われてきました。

天然石ならではの深い色合いと、一枚一枚異なる繊細な石肌の模様が、独特の風格と高級感を醸し出します。非常に耐久性が高く、日本では東京駅丸の内駅舎の屋根に使われていることでも有名です。

※注意:日本の戸建て住宅で単に「スレート」と言うと、セメントを主原料とした人工の屋根材(商品名:コロニアル、カラーベストなど)を指すことがほとんどですが、ここで解説する天然石のスレートとは全く異なるものです。

スレート(粘板岩)のメリットとデメリット

メリット

  • 極めて高い耐久性:石であるため腐食や変質がほとんどなく、100年以上の耐用年数を持つとも言われるほどの長寿命を誇ります。
  • 唯一無二の意匠性:天然素材のため、色合いや模様が微妙に異なり、深みのある美しい景観を作り出します。
  • 優れた耐水性・耐火性:水をほとんど吸収せず、また不燃材であるため、屋根材として非常に高い性能を持っています。

デメリット

  • 非常に高価:天然石の中でも高級品であり、材料費も専門的な施工費も非常に高額になります。
  • 衝撃で割れやすい:薄い板状に加工されているため、硬い物が強く当たると割れてしまうことがあります。
  • 重量がある:石材なので、ガルバリウム鋼板などの金属屋根に比べると重量があります。採用する場合は、建物の構造計算でその重さを考慮する必要があります。
  • 施工できる職人が少ない:特殊な材料と工法のため、施工できる専門の職人が非常に限られています。

スレート(粘板岩)の用途

天然スレートは、その高い意匠性と耐久性から、建物の格式を高めるための高級建材として使われます。

  • 屋根材:最も代表的な用途です。洋風の高級住宅や歴史的な建築物の屋根に使われ、重厚な外観を演出します。
  • 床材・壁材:内装の床や壁の仕上げ材として使用されます。黒や濃灰色のスレートは、モダンでシックな空間づくりに適しています。
  • 外壁材:外壁に部分的に貼り、アクセントとして使うこともあります。