塩ビやゴム系の防水シートを接着・固定して施工する方法で、均一な品質が得られやすく、施工も比較的スピーディーです。屋上・バルコニーなど平面が多い場所に適しており、軽量で建物への負担が少ないのも特徴です。シートの継ぎ目処理や固定方法により耐久性が左右されます。耐用年数は10~20年程度です。
名称 | シート防水 |
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大分類 | 防水・断熱材 |
小分類 | - |
特徴 | 塩化ビニル樹脂(塩ビ)やゴム系(加硫ゴム・EPDM)などでできた防水シート材。下地に貼り付けて施工する工法 |
肌目 | 均一でフラットな表面。塩ビ系は半ツヤで硬質な質感、ゴム系はやや柔らかくマットな印象。カラーも選択可能 |
用途 | ビル・マンションの屋上、バルコニー、屋根、庇、屋上緑化下地など。特に広面積かつメンテナンス性が重視される場所に適す |
産地・メーカー | 日本では田島ルーフィング、日新工業、ロンシール工業、積水化学工業などが主要メーカーとして製造・供給 |
シート防水の概要・特徴
シート防水は、塩化ビニル樹脂(塩ビ)や合成ゴムなどで作られた防水機能を持つシートを、接着剤や専用の金物で下地に貼り付けて防水層を作る工事のことです。
工場であらかじめ均一な厚みと品質で作られたシートを使用するため、仕上がりの品質が安定しているのが大きな特徴です。特に、塩ビシート防水は紫外線や熱に強く、耐久性が高いため、多くの建物の屋上で採用されています。
施工方法には、接着剤で下地に直接貼り付ける「接着工法」と、専用のディスク盤でシートを固定し、熱でシート同士を溶かして一体化させる「機械的固定工法」があります。
シート防水のメリットとデメリット
メリット
- 品質が安定している:工場生産された均一な厚みのシートを使うため、職人の技術力による品質のムラが出にくいです。
- 工期が短い:シートを貼っていく作業が中心で、ウレタン防水のような乾燥時間が不要なため、比較的短期間で施工が完了します。
- 優れた耐久性・耐候性(塩ビシートの場合):紫外線や熱による劣化に強く、長期間にわたって防水性能を維持します。また、鳥によるついばみ(鳥害)にも強いです。
- メンテナンスが容易:トップコートの塗り替えが基本的に不要なため、維持管理の手間が少ないです。
デメリット
- 複雑な形状には不向き:シート状の材料のため、配管の根元や凹凸が多い場所など、複雑な形状の部分では施工が難しく、防水の弱点になりやすいです。
- シートの継ぎ目(ジョイント)が弱点になりうる:シート同士のつなぎ目は、接着や熱溶着が不十分だと、そこから水が浸入したり、剥がれたりするリスクがあります。
- 下地の影響を受けやすい:下地に鋭利な突起などがあると、シートを傷つけてしまう可能性があります。下地を平滑に整えることが非常に重要です。
- 振動や騒音が発生する場合がある:機械的固定工法の場合、下地にアンカーを打ち込む際に、ドリルによる振動や騒音が発生します。
シート防水の用途
シート防水は、その施工性の良さと耐久性から、主に比較的面積が広く、形状がシンプルな屋上で採用されます。
- マンション・ビル・商業施設の屋上:最も代表的な用途です。平らな陸屋根(りくやね)の防水工事で、広く使われています。
- 工場・倉庫の屋上:広大な面積の屋根を、効率よく施工するのに適しています。