鉄筋を組んでコンクリートを流し込んだ構造で、圧縮と引張の両方に強く、非常に高い耐久性と耐震性を持ちます。耐火性・遮音性にも優れ、集合住宅や公共建築などで多用されます。自由な形状が実現しやすく、設計の柔軟性も高いです。一方で、重量があるため基礎や施工コストが大きくなります。
名称 | RC(鉄筋コンクリート) |
---|---|
大分類 | コンクリート・セメント系 |
小分類 | コンクリート |
特徴 | コンクリート(セメント・砂・砂利・水)に鉄筋(鋼材)を組み合わせた複合構造材。鉄筋が引張力、コンクリートが圧縮力を負担する |
肌目 | 仕上げにより異なる。打ちっぱなしの場合は無機質でマットな質感。左官仕上げや塗装仕上げで滑らかにもできる |
用途 | 住宅・マンション・ビル・橋梁・擁壁・地下構造物などの構造体や基礎材。耐震・耐火・耐久性に優れ、長寿命の建築に用いられる |
産地・メーカー | 鉄筋・コンクリートともに全国で製造・調達可能。現場打ちまたはプレキャスト(工場製品)として施工される。地域特性に応じた調合も可 |
RC(鉄筋コンクリート)の概要・特徴
RCとは「Reinforced Concrete」の略で、日本語では「鉄筋コンクリート」と呼ばれます。その名の通り、「鉄筋」と「コンクリート」という二つの材料を組み合わせて作られた、非常に強固な建材です。
コンクリートは「押される力(圧縮力)」には非常に強いですが、「引っ張られる力(引張力)」には弱いという性質があります。一方、鉄筋は「引っ張られる力」には強いですが、「押される力」には弱く、細いままだと簡単に曲がってしまいます。
RCは、この二つの材料を一体化させることで、お互いの弱点を補い合い、圧縮にも引張りにも強い、極めて頑丈な構造体を実現します。また、コンクリートが持つアルカリ性が鉄筋の錆びを防ぎ、長期間にわたってその強度を維持します。
RC(鉄筋コンクリート)のメリットとデメリット
メリット
- 高い耐震性・耐久性:建物自体が非常に重く頑丈なため、地震や台風の力に対して優れた強度を発揮します。素材の劣化も少なく、法定耐用年数が長いのも特徴です。
- 優れた耐火性:主要構造部が燃えないコンクリートで覆われているため、火災に非常に強く、燃え広がりにくいです。
- 高い設計自由度:液状のコンクリートを型枠に流し込んで作るため、曲線的な壁など、自由なデザインの建物を建てることができます。また、柱の少ない広々とした空間も作りやすいです。
- 優れた遮音性:素材の密度が高く重いため、外部の騒音が室内に伝わりにくく、室内の音も外に漏れにくい、静かな居住空間を実現しやすいです。
デメリット
- 建築コストが高い:材料費に加え、現場での型枠工事や鉄筋工事、コンクリートの養生期間などが必要なため、木造住宅などに比べて工期が長く、コストも高額になります。
- 結露しやすい:コンクリートは熱を蓄えやすいため、夏は室内に熱がこもり、冬は冷えやすい性質があります。外壁の外側で断熱する「外断熱」などの適切な断熱対策をしないと、室内外の温度差で結露が発生しやすくなります。
- 地盤への負荷が大きい:建物が非常に重いため、軟弱な地盤の場合は大規模な地盤改良や杭工事が必要になり、コストがさらにかさむ原因になります。
- リフォームが難しい:非常に頑丈な分、将来的に壁を壊して間取りを変更したり、窓を増設したりといった大規模なリフォームは困難で、コストもかかります。
RC(鉄筋コンクリート)の用途
RCは、その高い強度と耐久性から、住宅から大規模な建築物まで幅広く利用されています。
- 住宅の基礎:最も重要な用途です。木造や鉄骨造など、あらゆる工法の住宅で、建物を支える基礎部分として、ほぼ100%使用されます。
- RC造住宅の構造体:柱・梁・壁・床のすべてをRCで造る、RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅やマンション。
- 擁壁・外構:高低差のある土地の土留め(擁壁)や、コンクリート打ちっ放しの塀など、強度が必要な外構部分。
- 大規模建築物:学校、病院、商業施設、橋、トンネルなど、高い安全性が求められるあらゆる建築物の構造体として採用されています。