透明性が高く、軽量で加工しやすい素材です。断熱性があるため、断熱材や内装部材に使われますが、衝撃に弱く割れやすい欠点があります。屋内用のパネルや装飾パーツなど、非構造部に多く使われます。耐熱性も低いため、高温になる環境には不向きです。
名称 | PS(ポリスチレン) |
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大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 熱可塑性樹脂 |
特徴 | ポリスチレン(Polystyrene)はスチレンを重合して得られる熱可塑性樹脂。透明性が高く、軽量で加工しやすい |
肌目 | 表面はつやのあるなめらかな質感で、硬くて割れやすい傾向。光沢仕上げが多く、装飾性が高い |
用途 | 内装用モールディング材、断熱材(発泡スチロール=EPS)、照明カバー、建材サンプル台、装飾パネルなどに使用 |
産地・メーカー | 日本では住友化学、PSジャパン、三菱ケミカルなどが主要メーカー。建材用途では発泡加工や押出成形された製品が多く流通 |
PS(ポリスチレン)の概要・特徴
PSは「Polystyrene」の略で、「ポリスチレン」と呼ばれます。最も身近な例は、食品トレーや家電製品の緩衝材として使われる「発泡スチロール」です。
建築材料としてのポリスチレンは、この発泡技術を応用した板状の断熱材として使われるのが一般的です。内部に無数の独立した空気の泡(気泡)を含んでおり、この空気の層が熱の伝わりを強力にブロックするため、非常に高い断熱性能を発揮します。
また、極めて軽量で、水をほとんど吸わないという性質も大きな特徴です。このため、施工がしやすく、湿気による断熱性能の低下も起こりにくいという利点があります。ポリスチレン断熱材には、製造方法によって「EPS(ビーズ法)」と「XPS(押出法)」の2種類があります。
PS(ポリスチレン)のメリットとデメリット
メリット
- 優れた断熱性:内部の気泡が熱を伝えにくくするため、冷暖房の効率を高め、省エネな家づくりに貢献します。
- 軽量で施工性が良い:非常に軽いため運搬が楽で、現場ではカッターナイフなどで簡単に切断できるため、作業性に優れています。
- 水や湿気に強い:水をほとんど吸収しないため、湿気による断熱性能の低下が少なく、結露が発生しやすい場所にも使いやすいです。
- コストパフォーマンス:高い断熱性能を持ちながら、比較的安価に手に入れることができます。
デメリット
- 熱に弱い:素材自体は熱に弱く、高温になると溶けたり変形したりします。火気の近くでの保管や使用には注意が必要です。
- 燃えやすい性質:そのままでは燃えやすいため、建材として使われる製品には燃えにくくするための難燃剤が添加されています。
- 紫外線に弱い:日光に長時間当たると表面が劣化してもろくなるため、壁の中など、光が当たらない場所で使う必要があります。
- 薬品に弱い:シンナーなどの一部の有機溶剤に触れると溶けてしまう性質があります。
PS(ポリスチレン)の用途
ポリスチレンは、その優れた断熱性能と耐水性を活かして、住宅の断熱材としてあらゆる場所で活躍します。
- 基礎断熱:住宅のコンクリート基礎の内側や外側に貼り付け、地面からの冷気や熱が床下に伝わるのを防ぎます。特に水に強いXPS(押出法ポリスチレンフォーム)がよく使われます。
- 壁の断熱(充填断熱・外張り断熱):柱と柱の間に埋め込む「充填断熱」や、柱の外側から家全体を覆う「外張り断熱」の材料として使われます。
- 屋根・天井断熱:屋根の下地や天井裏に施工し、夏の暑い日差しや冬の冷気が室内に影響するのを防ぎます。
- 畳の芯材(畳床):従来のワラに代わる畳の芯材として、断熱性や軽量性に優れたポリスチレンフォームが使われることがあります。