軽くて強度があり、耐薬品性・耐熱性に優れたプラスチックです。湿気やカビに強く、浴室パネルや建築用パーツなどに使用されます。反面、紫外線には弱く、屋外での長期使用には注意が必要です。リサイクル性にも優れ、成形しやすい点も特徴です。
名称 | PP(ポリプロピレン) |
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大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 熱可塑性樹脂 |
特徴 | ポリプロピレン(Polypropylene)はプロピレンを重合して得られる熱可塑性樹脂。軽量で剛性・耐薬品性に優れるプラスチック素材 |
肌目 | 表面はさらっとしたマットな質感で、白っぽく半透明。成型性が高く、光沢仕上げやエンボス加工も可能 |
用途 | 断熱材のカバー材・床下点検口・パネル材・排水パイプ・建築用結束バンド・養生材など。軽量で水に強く屋外でも使用される |
産地・メーカー | 世界的に広く生産されており、日本では三井化学、住友化学、出光興産などが主要メーカー。建材用は国内成形加工品が中心 |
PP(ポリプロピレン)の概要・特徴
PPは「Polypropylene」の略で、「ポリプロピレン」と呼ばれます。自動車の部品や家電製品、食品容器、衣類の繊維など、PVC(塩ビ)やPE(ポリエチレン)と並んで非常に幅広く使われている代表的なプラスチックです。
建築材料としての特徴は、プラスチックの中でも特に軽く(水に浮くほど)、PE(ポリエチレン)よりも硬くて熱に強いことです。また、酸やアルカリといった化学薬品にも強く、水分をほとんど吸わないため、湿気による影響を受けにくいという利点もあります。
この性能を活かし、建材としてはシート状や繊維状の製品として、住宅の性能を支える様々な場所で使われています。
PP(ポリプロピレン)のメリットとデメリット
メリット
- 軽量で丈夫:非常に軽いため扱いやすく、建物への負担も少ないです。また、PEよりも強度や硬さに優れています。
- 優れた耐熱性:汎用プラスチックの中では耐熱性が高く、100℃を超える温度にも耐えることができます。
- 吸湿性が低い:水をほとんど吸わないため、湿気による寸法変化やカビの発生が起こりにくいです。
- コストパフォーマンスが良い:安価でありながら高い性能を持つため、コストを抑えたい場所で有効です。
デメリット
- 紫外線に弱い:PEと同様、日光に長時間当たると劣化してもろくなるため、屋外で露出したままの使用には向きません。
- 接着・塗装が難しい:表面が化学的に安定しているため、特殊な処理をしないと接着剤や塗料がつきにくいです。
- 低温に弱い:気温が低い環境では、衝撃に対して脆くなる性質があります。
PP(ポリプロピレン)の用途
PPは、その特性を活かして、主に機能性が求められる建材として多岐にわたって使用されています。
- カーペット繊維:繊維状に加工したPPは、耐久性があり、汚れがつきにくく、カビも発生しにくいため、カーペットの毛足(パイル)の素材として広く使われています。
- 透湿防水シート:PP製の不織布(ふしょくふ)は、壁や屋根の下地に使われる「透湿防水シート」として重要な役割を担っています。このシートは、屋外からの雨水は通さずに、壁の中の湿気だけを外に逃がすという特殊な機能を持っています。
- 畳の芯材:従来のワラに代わる、建材畳(化学畳)の芯材の一部として、板状のPPが使われることがあります。
- 養生材(プラダン):引越しや工事の際に床や壁を保護するために使われる、段ボールのような構造のプラスチックシート「プラダン」は、主にPPで作られています。