粗骨材の隙間を空けたまま固めた透水性のあるコンクリートで、雨水を地面に浸透させることができます。駐車場や歩道、庭まわりなどで使われ、水たまりや滑りを防ぎます。環境配慮型の舗装材として注目されています。ただし、通常のコンクリートに比べて構造強度は低めです。
名称 | ポーラスコンクリート |
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大分類 | コンクリート・セメント系 |
小分類 | セメント系 |
特徴 | 粗骨材(砕石など)を主に用い、細骨材(砂)を省くことで、空隙(すきま)を多く含むように設計された透水性コンクリート。セメント・水・粗骨材で構成 |
肌目 | 表面は粗くざらついた質感で、多くの気孔や空隙が見えるのが特徴。水が地面にしみ込む構造になっている |
用途 | 駐車場・歩道・公園の舗装、植栽まわり、透水性が求められる外構部材など。雨水浸透・ヒートアイランド対策に効果的 |
産地・メーカー | 現場練りまたはプレミックスコンクリートとして全国で製造・施工可能。専用の配合・施工技術を持つ企業(太平洋プレコン工業など)も多数存在 |
ポーラスコンクリートの概要・特徴
ポーラスコンクリートは、その名前の「ポーラス(Porous=多孔質)」が示す通り、内部にたくさんの連続した隙間(空隙)を持つ特殊なコンクリートです。
通常のコンクリートはセメント、水、砂、砂利を混ぜて作りますが、ポーラスコンクリートは砂の使用量を減らすか、全く使わないことで、砂利と砂利の間に意図的に隙間を作り出しています。
最大の特徴は、この隙間のおかげで非常に水はけが良い(高い透水性を持つ)ことです。雨水などをそのまま地面に浸透させることができるため、水たまりができにくいという大きな利点があります。また、内部の隙間は音を吸収したり、打ち水効果で路面温度の上昇を抑えたりする効果も発揮します。
ポーラスコンクリートのメリットとデメリット
メリット
- 優れた透水性:雨が降っても水たまりができにくく、雨水を地中に返すことで、都市型洪水の抑制や地下水の涵養(かんよう)にも貢献します。
- ヒートアイランド現象の緩和:保水した水分が蒸発する際の気化熱により、夏場の路面温度の上昇を抑える効果があります。
- 滑りにくく安全:表面がザラザラしているため、雨の日でも滑りにくく、歩行者の安全性が高いです。
- 自然環境との共存:透水性・通気性に優れるため、植栽の根元周りにも施工でき、樹木の健全な生育を助けます。
デメリット
- 強度が低い:内部に隙間がある分、通常のコンクリートに比べて強度は劣ります。大型トラックなどが頻繁に通る場所には向きません。
- 目詰まりによる性能低下:隙間に土や泥、落ち葉などが詰まると、透水性能が落ちてしまいます。性能を維持するためには、定期的な高圧洗浄などのメンテナンスが必要です。
- 凍害に弱い:内部に染み込んだ水が、冬場に凍ったり溶けたりを繰り返すことで、コンクリートが劣化しやすくなります。寒冷地での使用には注意が必要です。
- コストが比較的高め:特殊な配合や施工管理が必要なため、一般的なコンクリート舗装に比べて費用は高くなる傾向があります。
ポーラスコンクリートの用途
ポーラスコンクリートは、その優れた透水性や環境性能を活かして、主に屋外の舗装材として使われます。
- 住宅のアプローチ・駐車場:雨の日の水はねや水たまりを防ぎ、快適な歩行や車の乗り降りをサポートします。(※駐車場は乗用車用に限られることが多いです)
- 公園の遊歩道・広場:水はけが良いため、雨上がりでも利用しやすく、子供たちが安全に遊べます。
- 歩道:歩行者の安全性を高めると同時に、街路樹の生育環境を改善します。
- 建物の犬走り:家の周りに施工することで、雨水の排水をスムーズにし、建物の基礎周りを清潔に保ちます。