軽量で耐久性に優れた合成繊維で、防音材や断熱材、クロスなどに広く使われます。カビや虫に強く、取り扱いが容易でコストも比較的安価です。静電気を帯びやすい性質はありますが、機能性加工で抑えることが可能です。リサイクル原料を使った製品も多く、環境配慮型素材としても活用されています。

名称ポリエステル繊維
大分類繊維・布・紙系
小分類 人工繊維
特徴 石油由来の合成繊維(ポリエチレンテレフタレート=PET)。軽量で強度が高く、リサイクル品(再生PET)も活用される
肌目 表面はなめらかで均質な質感。繊維の太さや加工により、ふんわりした質感から硬めのフェルト状まで幅広い仕上がり
用途 断熱材(パーフェクトバリアなど)、吸音材、壁材・天井材、内装クロス、カーペット、下地材など。防音・断熱・安全性に優れる
産地・メーカー 国内外で広く生産。日本では帝人フロンティア、東レ、積水化学などが建材・内装用ポリエステル繊維製品を展開。再生繊維としても普及中

ポリエステル繊維の概要・特徴

建築材料としてのポリエステル繊維は、衣類やペットボトルと同じ原料(PET樹脂)から作られる合成繊維です。主に、リサイクルされたペットボトルなどを原料として、シート状やマット状に加工された断熱材・吸音材として利用されます。

最大の特徴は、水分をほとんど吸収しないことです。これにより、湿気による断熱性能の低下が少なく、カビの発生も抑制します。また、人体に安全で、施工時にチクチクしないという大きな利点もあります。

繊維自体がしっかりとしており、長い年月が経っても形が崩れにくい(へたりにくい)ため、安定した性能を長期間維持することが期待できる素材です。

ポリエステル繊維のメリットとデメリット

メリット

  • 安全性が高い:ガラス繊維のように肌を刺激することがなく、施工時の安全性が高いです。また、アレルギーの原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質も含まないため、健康に配慮した建材と言えます。
  • 優れた耐水性:湿気を吸わないため、万が一、壁体内が結露しても性能が低下しにくいです。この性質から、カビの繁殖リスクも低減します。
  • 形状安定性が高い:繊維に弾力とコシがあるため、壁の中に充填しても自重で垂れ下がったり、沈下したりしにくいです。
  • 環境性能:ペットボトルをリサイクルして作られるため、資源の有効活用に繋がり、環境負荷の少ないサステナブルな材料です。

デメリット

  • コストが高い:最も一般的な断熱材であるグラスウールに比べて、材料費が高価になる傾向があります。
  • 熱に弱い:素材自体は熱で溶けやすい性質を持っています。ただし、建材として使われる製品には、安全性を確保するための難燃処理が施されています。
  • 断熱性能:製品にもよりますが、高性能なグラスウールなどと比較した場合、同等の断熱性能を得るためにより厚みが必要になることがあります。
  • 普及率:グラスウールほど一般的ではないため、取り扱っている工務店や建材店が限られる場合があります。

ポリエステル繊維の用途

ポリエステル繊維は、その安全性や耐久性を活かして、主に住宅の断熱材・吸音材として使用されます。

  • 壁の断熱材:柱と柱の間など、壁の中に充填して使用します。断熱だけでなく、生活音を和らげる吸音材としての役割も果たします。
  • 天井・屋根裏の断熱材:天井裏に敷き込むことで、屋根からの熱の出入りを抑えます。
  • 床下の断熱材:床下からの冷気を遮断するために、床組の間に充填します。
  • カーペット:(断熱材とは異なりますが)耐久性や防汚性に優れるため、住宅用のカーペットの素材としても広く使われています。