アルキド樹脂系の代表的な塗料で、安価で扱いやすく、主に屋内用や鉄部の下塗り・木部塗装などに使われます。乾燥が早く、光沢があり、仕上がりも美しいですが、耐候性・耐水性はあまり高くありません。屋外での使用には向かず、定期的な塗り替えが必要です。DIYや簡易塗装でよく選ばれます。

名称フタル酸樹脂系塗料
大分類塗料
小分類 -
特徴 フタル酸と多価アルコールから作られるアルキド樹脂を主成分とした油性塗料。空気中の酸素と反応して乾燥(酸化重合)する
肌目 光沢が強く、滑らかで美しい塗膜を形成。乾燥は遅めだが、塗膜はしなやかで均一に仕上がる
用途 屋内外の鉄部・木部・建具・手すり・門扉・家具など。特にDIYや補修用として親しまれ、刷毛塗りやローラー塗りに適す
産地・メーカー 日本ではアサヒペン、カンペハピオ、大日本塗料などが製造。ホームセンターなどで一般向けにも広く流通

フタル酸樹脂系塗料の概要・特徴

フタル酸樹脂系塗料は、一般的には「アルキド樹脂塗料」という名前で知られている塗料の一種です。古くから鉄部や木部の塗装に使われてきた、非常に歴史のある塗料です。

最大の特徴は、非常に安価で、作業性に優れている点です。刷毛(はけ)でも塗りやすく、乾燥後の塗膜は光沢があり、美しい仕上がりになります。

しかし、耐久性はあまり高くなく、特に紫外線に弱いという弱点があります。そのため、現在ではより高性能なウレタン樹脂塗料やシリコン樹脂塗料が主流となり、住宅の主要な部分で使われることは少なくなりました。

フタル酸樹脂系塗料のメリットとデメリット

メリット

  • 非常に安価:他の塗料に比べて材料費が安く、コストを抑えたい場合に適しています。
  • 作業性が良い:塗りやすく、乾燥も比較的早いため、DIYなどでも扱いやすいです。
  • 美しい仕上がり:塗膜に厚み(肉持ち感)があり、光沢のある滑らかな仕上がりになります。

デメリット

  • 耐久性が低い:耐用年数は3~5年程度と短く、屋外では紫外線や雨風の影響で劣化しやすいです。
  • 耐アルカリ性が低い:セメントやモルタルなど、アルカリ性の下地には直接塗ることができません。塗ると塗膜が剥がれてしまうため、必ず専用の下塗り材が必要です。
  • 変色しやすい:特に白色系は、時間が経つと黄色っぽく変色(黄変)しやすいです。
  • 臭いが強い:溶剤(シンナー)で薄めて使うタイプが多いため、塗装中や乾燥中には強い臭いが発生します。

フタル酸樹脂系塗料の用途

フタル酸樹脂系塗料は、その特性から、外壁などの広い面積ではなく、主に屋内外の金属部や木部の塗装で使われます。

  • 屋外の鉄部塗装:鉄製の手すり、シャッター、鉄骨階段、門扉など。
  • 屋内の木部・鉄部塗装:ドアの枠、窓枠、巾木(はばき)など。
  • DIYでの使用:ホームセンターなどで手に入りやすく安価なため、家具や小物などの塗装によく利用されます。