シソ科のエゴマの種子から搾った植物油で、乾燥性があり木材に浸透して保護層を形成します。亜麻仁油より乾きが早く、ややさらっとした仕上がりになります。安全性が高く、食用と同じ原料を使用する場合もあります。木の色合いを自然に引き立てたい場合に適しています。

名称荏胡麻油(エゴマ油)
大分類塗料
小分類 自然塗料
特徴 シソ科植物「エゴマ」の種子から搾った植物性乾性油。亜麻仁油と同様に空気中で酸化重合し、木材保護に使われる自然塗料
肌目 木に浸透して自然な濡れ色(やや琥珀色)を与える。艶は控えめで、木の質感・呼吸を活かすマット調仕上げになる
用途 木製家具、建具、床、柱、食器などの仕上げ・メンテナンス。人体に無害で、食器や子供用家具にも安心して使える
産地・メーカー 主に日本(福島・岩手・長野・奈良などの伝統産地)や中国・韓国。建築用は**自然塗料メーカー(例:松本油店など)**が加工・販売

荏胡麻油(エゴマ油)の概要・特徴

荏胡麻油(えごまゆ)は、シソ科の植物であるエゴマの種子から抽出される、天然の植物油です。亜麻仁油(あまに油)などと同じ「乾性油(かんせいゆ)」の一種で、空気中の酸素と反応して、ゆっくりと自然に硬化する性質を持っています。

この性質を利用して、古くから木材を保護するための塗料として使われてきました。木材に塗ると、表面に硬い膜を作るのではなく、内部に浸透して硬化することで木を保護します。

これにより、木が持つ本来の調湿機能を保ちながら、木目を美しく引き立たせる効果があります。また、昔は和傘(番傘)の防水加工などにも使われてきた、日本の伝統的な天然塗料です。

荏胡麻油(エゴマ油)のメリットとデメリット

メリット

  • 安全性が非常に高い:100%天然成分のため、化学物質を含まず、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して使えます。
  • 木目を美しく見せる:木材に深く浸透し、木目を際立たせるため、木の持つ本来の美しさを最大限に引き出します。
  • 木の呼吸を妨げない:木材の調湿機能を維持するため、木材が持つ湿度調整の能力を活かすことができます。
  • DIYでも扱いやすい:刷毛や布で簡単に塗ることができるため、ご家庭でのメンテナンスやDIYにも適しています。

デメリット

  • 乾燥が非常に遅い:完全に硬化するまでに非常に長い時間がかかります。塗り重ねる場合は、十分な乾燥期間が必要です。
  • 保護性能は高くない:ウレタン塗装などの合成塗料に比べて塗膜が弱いため、傷や熱に対する保護性能は劣ります。
  • 定期的なメンテナンスが必要:撥水効果などを維持するためには、年に一度程度の定期的な塗り重ねが必要です。
  • 自然発火の危険性:亜麻仁油と同様に、油が付着した布などをそのまま放置すると、酸化熱で自然発火する危険性があります。使用後の布は必ず水に浸すか、密閉できる金属容器に入れて処分するなど、厳重な管理が絶対に必要です。

荏胡麻油(エゴマ油)の用途

荏胡麻油は、主に屋内の木部を、自然な風合いを活かしながら保護したい場合に利用されます。

  • 内装の木部塗装:無垢材のフローリング、柱、梁、壁板、カウンターなど、木の質感を活かしたい場所。
  • 木製家具の仕上げ:テーブルや椅子、棚などの保護と艶出しに。
  • DIYでの木工品塗装:ご自身で作った木工品の仕上げ塗料として手軽に利用できます。