Low Emissivity(低放射)膜をガラス表面にコーティングしたガラスで、熱の出入りを制御できます。夏は太陽熱を遮り、冬は室内の熱を逃がしにくいため、断熱・遮熱の両効果を持ちます。単体で使用されることは少なく、複層ガラスに組み合わせて使われます。高性能住宅やZEHなどで標準化が進んでいます。
名称 | Low-Eガラス |
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大分類 | ガラス・透明素材 |
小分類 | 機能ガラス |
特徴 | ガラス表面に特殊金属膜(Low-Emissivity:低放射膜)をコーティングした高機能ガラス。主に複層ガラス(ペア・トリプル)として使用される |
肌目 | 見た目は通常の透明ガラスとほぼ同じだが、角度や光の加減でうっすら青・緑・銀色の反射が見えることがある |
用途 | 住宅・ビルの窓やドアなどの開口部全般。**断熱型(室内の熱を逃がさない)/遮熱型(外の熱を遮る)**があり、地域や方位により使い分ける |
産地・メーカー | 国内ではAGC(サンバランス)、日本板硝子(スペーシアクール)、セントラル硝子などが製造。住宅用サッシメーカー(YKK AP、LIXIL)と連携し流通 |
Low-Eガラスの概要・特徴
Low-Eガラス(ローイーガラス)は、「Low Emissivity(低放射)」の頭文字を取ったもので、ガラスの表面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティングした、高い断熱性能と遮熱性能を持つガラスです。現代の省エネ住宅には欠かせない、高性能ガラスの代表格です。
このLow-E膜は、目には見えないほど薄い銀などの金属膜で、熱(赤外線)は反射し、光(可視光線)は通すという魔法のような性質を持っています。
通常、2枚のガラスを組み合わせた「ペアガラス(複層ガラス)」として使用され、Low-E膜をガラスのどの面にコーティングするかによって、主に2つのタイプに分けられます。
- 遮熱タイプ:室外側のガラスの内面にLow-E膜を配置します。夏の日差し(太陽の熱)を反射して、室内の温度上昇を抑えることを主な目的としており、西日が当たる窓などに効果的です。
- 断熱タイプ:室内側のガラスの外面にLow-E膜を配置します。冬場に室内の暖房の熱が外へ逃げるのを防ぐことを主な目的としており、寒い地域や、日当たりの悪い北側の窓などに適しています。
Low-Eガラスのメリットとデメリット
メリット
- 優れた断熱・遮熱効果:夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保ちやすくなります。これにより、冷暖房の効率が大幅に向上し、光熱費の削減に大きく貢献します。
- 結露の抑制:熱の移動を抑えるため、ガラス表面が冷えにくくなり、不快な結露の発生を効果的に防ぎます。
- 紫外線(UV)カット効果:Low-E膜は、家具や床、カーテンなどの色褪せの原因となる紫外線を大幅にカットする効果も持っています。
デメリット
- コストが高い:通常のペアガラスに比べて、製品の価格は高くなります。
- 日射取得の低下:(特に遮熱タイプは)冬場に窓から取り入れたい太陽の暖かい日差しもある程度カットしてしまうため、日射による暖房効果は低くなります。
- 見た目がわずかに暗くなる:ごくわずかですが、金属膜の影響で、透明なガラスに比べて少しだけ暗く見えたり、色味がかって見えたりすることがあります。
- 携帯電話の電波に影響する場合がある:金属膜が電波を反射するため、ごく稀に携帯電話の電波が弱くなる可能性が指摘されています。
Low-Eガラスの用途
Low-Eガラスは、主にペアガラスやトリプルガラスの一部として、住宅の窓ガラスに広く使われます。
- 住宅の窓全般:省エネ性能が重視される現代の住宅では、標準的な窓ガラスの仕様となっています。
- 方角による使い分け:夏の日差しが厳しい南面や西面の窓には「遮熱タイプ」を、冬の日射を少しでも取り入れたい、あるいは日当たりの悪い北面の窓には「断熱タイプ」を、といったように、窓の方角や地域の気候に合わせて使い分けるのが効果的です。