白やベージュ系の柔らかい風合いを持つ堆積岩で、内外装や舗装材に用いられます。柔らかく加工しやすい反面、吸水性が高く、酸性の液体に弱いのが欠点です。温かみのあるナチュラルな印象を与える素材です。エイジングによる風合いの変化も楽しめます。
名称 | 石灰岩 |
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大分類 | 石材 |
小分類 | 自然石 |
特徴 | 炭酸カルシウム(CaCO₃)を主成分とする堆積岩。主に貝殻やサンゴなどの生物由来の成分が堆積してできた天然石材 |
肌目 | 表面はやや柔らかく、落ち着いたマットな質感。色味は白〜ベージュ系が中心で、化石などの模様が見られることもある |
用途 | 内装壁材・床材・彫刻材・建築装飾材・セメントの原料として使用。柔らかく加工しやすいため、意匠性の高い内装仕上げに適する |
産地・メーカー | 国内では山口県秋吉台(美祢石)、香川県(庵治石の一部)など。海外ではフランス、スペイン、トルコなどが有名な産地 |
石灰岩の概要・特徴
石灰岩(せっかいがん)は、サンゴや貝殻といった、大昔の海の生物の死骸が海底に積み重なり、長い年月をかけて固まってできた天然石です。「ライムストーン」とも呼ばれます。
最大の特徴は、柔らかく、加工がしやすいことです。そのため、古くからピラミッドやヨーロッパの城壁など、世界中の歴史的建造物に使われてきました。色合いは白やベージュ、クリーム色などが中心で、優しく温かみのある、ナチュラルな風合いを持っています。石の中に化石が見られることもあり、それが独特の模様となります。
しかし、主成分が炭酸カルシウムであるため、酸に非常に弱いという、建材として使う上で最も注意が必要な性質を持っています。
石灰岩のメリットとデメリット
メリット
- 優しく上品な風合い:温かみのあるマットな質感が、柔らかくナチュラルな空間を演出します。
- 加工が容易:御影石などに比べて柔らかいため、切断や形状の加工がしやすく、様々なデザインに対応できます。
- 耐火性が高い:石材であるため、火に強く燃えません。暖炉の周りなどにも適しています。
デメリット
- 酸に極めて弱い:お酢やレモン汁、ワインなどが付着すると、表面が溶けて光沢がなくなったり、シミになったりします。そのため、キッチンカウンターでの使用には全く向きません。
- 傷がつきやすく、シミになりやすい:柔らかく、水分を吸収しやすいため、傷やシミがつきやすいデリケートな素材です。床材として使う場合は、歩行頻度の少ない場所を選ぶなどの配慮が必要です。
- メンテナンスに手間がかかる:美観を保つためには、汚れをすぐに拭き取ったり、表面を保護するための専用のコーティング剤を定期的に塗布したりする必要があります。
石灰岩の用途
石灰岩は、そのデリケートな性質から、主に内装で、水や汚れ、傷の影響を受けにくい場所で装飾的に使われます。
- 内装の壁材:リビングやホールのアクセントウォールとして、その温かみのある質感を活かします。
- 暖炉の周り(マントルピース):耐火性の高さを活かし、暖炉の装飾材として使われます。
- 床材:寝室など、歩行頻度が低く、水濡れの心配が少ない部屋の床に使われることがあります。
- 装飾部材:窓台やニッチ(飾り棚)の天板など、デザインのアクセントとして部分的に使用されます。