ガラス繊維などを樹脂で強化した複合材料で、高強度・軽量・耐水・耐食性に優れています。浴槽、屋根材、外壁パネルなどに広く使用されています。自由な形状に成形でき、デザイン性にも優れています。耐候性にも優れますが、紫外線による劣化には注意が必要です。

名称FRP(繊維強化プラスチック)
大分類樹脂(プラスチック系)
小分類 熱硬化性樹脂
特徴 樹脂(ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂など)にガラス繊維などの強化材を混ぜて成形した複合材料。軽量で高強度
肌目 表面はつるっとした樹脂特有の光沢があるタイプと、マットな仕上げが選べる。成形方法により凹凸加工も可能
用途 浴槽・ユニットバス・屋根材・外壁材・水槽・煙突・ベランダ防水・通路床材など。耐水性・耐薬品性・成形自由度が求められる場面で使用
産地・メーカー 国内では積水化学・三井化学・タキロン・旭化成などが関連製品を展開。建材としては国内成形メーカーによる加工品が多い

FRP(繊維強化プラスチック)の概要・特徴

FRPは「Fiber Reinforced Plastics」の略で、日本語では「繊維強化プラスチック」と呼ばれます。その名の通り、プラスチックにガラス繊維などの強化用の繊維を混ぜ込んで、強度を飛躍的に高めた複合材料です。

身近なところでは、ユニットバスの浴槽やボートの船体、自動車のエアロパーツなどに使われています。

最大の特徴は、「軽くて、強くて、腐らない」という優れた性質を併せ持ち、さらに型を使って自由な形に一体で成形できる点です。これにより、継ぎ目のない滑らかな曲面や、複雑な形状の製品を効率よく作ることができます。

FRP(繊維強化プラスチック)のメリットとデメリット

メリット

  • 軽量かつ高強度:金属に匹敵する強度を持ちながら、重さは鉄の数分の一と非常に軽いため、建物への負担を軽減できます。
  • 優れた耐久性・耐食性:鉄のように錆びたり、木のように腐ったりすることがありません。水や薬品にも強いため、過酷な環境でも長持ちします。
  • シームレスな防水性:液状の樹脂を塗って固めるため、継ぎ目のない完全な防水層を作ることができます。バルコニーの防水工事などに最適です。
  • 高いデザイン自由度:型さえあればどんな形にも成形できるため、デザイン性の高い製品や、複雑な曲面を持つ部材の製造に適しています。

デメリット

  • 紫外線による劣化:屋外で長期間使用すると、表面を保護しているゲルコート層が紫外線で劣化します。そのため、定期的なトップコートの塗り替えが必要です。
  • 専門的な施工・補修技術が必要:特に防水工事などで使う場合、職人の技術力によって品質が大きく左右されます。破損した場合の補修にも専門知識が必要です。
  • リサイクルが困難:プラスチックと繊維が一体になった複合材料のため、分離してリサイクルするのが難しいという課題があります。
  • コストがかかる場合がある:手作業による工程が多いため、製品によっては製造コストが比較的高くなることがあります。

FRP(繊維強化プラスチック)の用途

FRPは、その優れた性能から、特に防水性や耐久性、デザイン性が求められる場所で幅広く活躍しています。

  • バルコニー・屋上の防水層:木造住宅のバルコニー防水では、最も一般的に採用される工法の一つです(FRP防水)。
  • 水まわり製品:ユニットバスの浴槽、洗い場の床(防水パン)、洗面化粧台の洗面ボウルなど。
  • 浄化槽・貯水タンク:地中に埋設する浄化槽や、屋上に設置する貯水タンクなど、高い強度と耐食性が求められるタンク類。
  • 建築物の装飾部材:ドーム状の屋根や、デザイン性の高い外壁パネル、店舗の装飾など、自由な形状を活かした部分。