セメントと繊維質を主原料とした外壁材で、耐火性や耐候性に優れています。デザインや色のバリエーションが豊富で、コストパフォーマンスも良好です。比較的軽量で施工しやすいのが特徴ですが、継ぎ目にシーリング処理が必要です。定期的なメンテナンスを行うことで、長期間美観を保つことができます。
名称 | 窯業系サイディング |
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大分類 | セラミック・タイル |
小分類 | セラミック |
特徴 | セメントと木質系繊維(パルプなど)を主成分とする人工建材 |
肌目 | 凹凸のある表面仕上げ。タイル調・石調・木目調などデザイン豊富。手触りは硬くマット |
用途 | 主に住宅の外壁材として使用。耐火性・耐候性・施工性に優れる |
産地・メーカー | 日本国内の主要メーカーによって製造されており、旭トステム外装(茨城)、ニチハ(愛知)、ケイミュー(大阪)などが多くのシェアを占めている |
窯業系サイディングの概要・特徴
窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、セメント質と繊維質を主な原料として、板状に成形した外壁材です。「窯業」という名前の通り、窯(かま)を使い高温で硬化させて作られます。
現在の日本の戸建て住宅において、最も多く採用されている外壁材で、非常に高いシェアを誇ります。
大きな特徴は、石積調やタイル調、木目調など、デザインや色のバリエーションが非常に豊富な点です。また、主原料がセメントであるため耐火性に優れており、工場で生産されるため品質が安定していることも特徴の一つです。
窯業系サイディングのメリットとデメリット
メリット
- デザインが豊富:色や凹凸のパターンが多岐にわたるため、洋風から和風まで様々なテイストの外観デザインに対応できます。
- 耐火性能が高い:主原料が不燃材料のセメントなので、火に強く、建築基準法が求める防火性能を満たしやすいです。
- コストパフォーマンスが良い:他の外壁材(塗り壁やタイルなど)と比較して、製品価格や施工費用が比較的安価な傾向にあります。
- 品質が安定している:工場で厳密な管理のもと生産されるため、職人の技術力による仕上がりの差が出にくく、安定した品質を保ちやすいです。
デメリット
- 定期的なメンテナンスが必要:表面を保護している塗膜が紫外線や雨風によって劣化するため、10年~15年程度を目安に再塗装が必要になります。
- シーリングの劣化:サイディングボードの継ぎ目や窓まわりを埋めている「シーリング(コーキング)」材は、外壁本体よりも早く劣化します。ひび割れや剥がれを放置すると雨漏りの原因になるため、7年~10年程度での打ち替えや増し打ちが推奨されます。
- 熱を蓄えやすい:セメント質であるため熱を溜め込みやすく、特に夏場は、直射日光が当たる壁の表面温度が高くなることがあります。
- 衝撃による破損リスク:硬い素材ですが、逆にしなやかさがないため、車をぶつけるなど強い衝撃が一点に加わると、ひび割れたり欠けたりすることがあります。
窯業系サイディングの用途
窯業系サイディングは、その性能とコストバランスの良さから、建物の外壁材として幅広く使用されています。
- 戸建て住宅の外壁:新築住宅で最も一般的に使用される外壁材です。
- アパートなど共同住宅の外壁:戸建て住宅と同様に、多くの共同住宅でも採用されています。
- 店舗や事務所の外壁:小規模な商業施設やオフィスの外壁としても利用されます。