強力な接着性と高い耐水性・耐薬品性を持ち、塗料や接着剤、コンクリートの補修材などに使われます。硬化後は非常に強固で耐久性が高く、床材や防水処理にも利用されます。施工には硬化剤との混合が必要で、扱いには注意が必要です。透明性があり、光沢仕上げにも適しています。
名称 | エポキシ樹脂 |
---|---|
大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 熱硬化性樹脂 |
特徴 | エポキシ基をもつ樹脂と硬化剤を反応させて硬化させる熱硬化性樹脂。接着力・耐薬品性・耐水性に非常に優れる |
肌目 | 透明〜半透明で、光沢のある滑らかな表面。顔料を混ぜて着色・デザイン加工も可能。硬化後は非常に硬く丈夫 |
用途 | 床材(エポキシ樹脂塗床)、防水材、接着剤、構造補修材、カウンター・テーブルの天板、塗装仕上げ材などに使用 |
産地・メーカー | 日本では三井化学、ADEKA、日本エポキシ樹脂、住友化学などが原料メーカー。建築用途では塗料メーカーや建材加工メーカーが展開 |
エポキシ樹脂の概要・特徴
エポキシ樹脂は、「主剤」と「硬化剤」という2種類の液体を混ぜ合わせ、化学反応によって硬化させるタイプの合成樹脂です。
最大の特徴は、金属、コンクリート、木材、プラスチックなど、様々な素材に対して驚くほど強力な接着力を発揮することです。また、硬化後の樹脂は非常に硬く、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、寸法安定性も高いという優れた物理的性能を持っています。
建材としては、主に接着剤や塗料、コンクリートの補修材として、その高い性能が求められる場面で活躍します。近年では、その高い透明性を活かして、デザイン性の高いテーブルや床材としても注目されています。
エポキシ樹脂のメリットとデメリット
メリット
- 極めて強力な接着力:異種の素材同士でも強力に接着できるため、構造的な接着や補修に適しています。
- 優れた耐久性:硬化後の塗膜は非常に硬く、水や薬品、摩耗に強いため、床の保護コーティングなどに最適です。
- 寸法安定性が高い:硬化する際の体積収縮が非常に少ないため、精密な接着や、隙間の充填にも使用できます。
- 高い電気絶縁性:電気を通しにくいため、電子部品の封止材などにも使われます。
デメリット
- 紫外線に弱い:一般的なエポキシ樹脂は、太陽光(紫外線)に長時間さらされると、黄色く変色(黄変)したり、劣化したりします。屋外での使用には、耐候性の高いトップコートが必要です。
- コストが高い:一般的な接着剤や塗料に比べて、材料の価格は高価です。
- 取り扱いが難しい:主剤と硬化剤を正確な比率で混合する必要があり、混ぜた後の作業可能な時間(可使時間)も限られます。
- 硬くて脆い場合がある:非常に硬い反面、種類によっては衝撃で割れやすい性質を持つものもあります。
エポキシ樹脂の用途
エポキシ樹脂は、その高い性能を活かして、主にプロの現場で機能性が求められる場面で使われます。
- 接着剤:コンクリートや石材、金属などを接着するための構造用接着剤として。特に、コンクリートに鉄筋を固定する「アンカー」の定着などに使われます。
- 補修材:コンクリートのひび割れに注入して、構造を一体化させるための補修材として使用されます。
- 床材・塗料:工場の床や駐車場の床など、高い耐摩耗性や耐薬品性が求められる場所の床用塗料・コーティング材として。また、透明性を活かしたデザイン性の高い床(デザイナーズフロア)にも使われます。
- 家具(リバーテーブルなど):木材と透明なエポキシ樹脂を組み合わせて作る「リバーテーブル」の材料として、DIYや家具製作の分野で人気があります。