植物プランクトンの化石からなる多孔質素材で、高い調湿性・脱臭性を持つ自然素材の塗り壁材です。室内の湿気を吸収・放出し、結露やカビの発生を抑える効果があります。カラーやテクスチャも豊富で、デザイン性の高い仕上げが可能です。ただし、製品によっては樹脂などが多く混ぜられている場合もあるため、成分の確認が必要です。

名称珪藻土
大分類左官材
小分類 -
特徴 珪藻(植物プランクトン)の化石からなる堆積土を原料とした自然素材の内装仕上げ材。調湿性の高い多孔質構造をもつ
肌目 表面はマットで柔らかく、ざらつきのある自然な風合い。コテ跡を生かした仕上げや、フラットな仕上げも可能。色味は白~ベージュ系が主流
用途 住宅の内壁・天井(特にリビング・寝室・水まわり)に使用。調湿性・脱臭性・防カビ性・断熱性に優れ、結露・空気質対策として人気
産地・メーカー 原料は秋田・石川・岡山・鹿児島などで産出。製品は日本各地の建材メーカー(日本ケイソウド建材、四国化成など)から販売されている

珪藻土の概要・特徴

珪藻土(けいそうど)は、大昔の植物性プランクトン(珪藻)の死骸が、海底や湖底に積み重なって化石化した土のことです。

最大の特徴は、電子顕微鏡で見るとわかるほど無数の微細な孔(あな)が空いている「多孔質(たこうしつ)」な構造です。この小さな孔が、空気中の湿気を吸ったり吐いたりする「調湿性」や、気になるニオイを吸着する「消臭性」といった優れた機能を発揮します。

建材としては、この珪藻土を主原料として、糊や繊維などを混ぜて水で練り上げ、左官職人がコテを使って壁に塗り付ける「塗り壁材」として利用されます。その自然な風合いと高い機能性から、健康志向の住宅で人気の高い素材です。

珪藻土のメリットとデメリット

メリット

  • 極めて高い調湿性能:室内の湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は放出することで、一年を通して快適な湿度環境を保ちやすく、結露の発生を抑制します。
  • 優れた消臭効果:トイレやペット、タバコなど、生活の中で発生する様々なニオイの原因物質を吸着し、お部屋の空気をクリーンに保ちます。
  • 高い防火性:土の一種であるため燃えにくく、耐火性に優れています。七輪の原料としても使われるほどです。
  • 自然素材ならではの温かみのある質感:職人の手仕事による、継ぎ目のない独特の風合いが、空間に温かみと落ち着きを与えます。

デメリット

  • 汚れやすく、掃除がしにくい:表面がザラザラしており、水分を吸収しやすいため、コーヒーなどをこぼすとシミになりやすいです。また、水拭きすると表面が削れてしまうことがあります。
  • 強度が低い:表面を強くこすると、粉がポロポロと落ちてくることがあります。また、物をぶつけると欠けやすいです。
  • コストが高い:材料費も、専門技術を持つ左官職人による施工費も、一般的なビニルクロスに比べて高価になります。
  • 品質にばらつきがある:製品によって珪藻土の含有率や、固めるために使う「つなぎ材」の種類が異なります。つなぎ材に合成樹脂を多く使っている製品は、本来の調湿性能が低い場合があるため、注意が必要です。

珪藻土の用途

珪藻土は、その高い機能性と自然な風合いから、主に内装の仕上げ材として人気があります。

  • 内装の壁・天井:リビングや寝室、和室など、快適な室内環境を重視する部屋の壁や天井に最適です。
  • 収納内部:クローゼットや押入れ、シューズクロークの壁に塗ることで、その調湿効果と消臭効果を最大限に活かせます。
  • トイレ・洗面所:ニオイや湿気がこもりやすい水まわりにも適していますが、水が直接かかる場所での使用は避ける必要があります。