天然石のような見た目を持ちながら、樹脂で成形された滑らかで加工しやすい素材です。キッチンや洗面カウンター、天板などに広く使用されます。アクリル系は耐久性・メンテナンス性に優れ、ポリエステル系は比較的安価でコストパフォーマンスに優れます。一体成形が可能で、継ぎ目のない美しい仕上がりが実現できます。
名称 | 人工大理石(アクリル系・ポリエステル系) |
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大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 高機能樹脂製品 |
特徴 | アクリル樹脂またはポリエステル樹脂に天然鉱物粉(主にアルミナ水酸化物など)を混合して成形した人工素材。無機+有機の複合材料 |
肌目 | 表面はなめらかで光沢があり、均一な質感。大理石調・単色・柄入りなどデザインが豊富で、継ぎ目のない一体成形も可能 |
用途 | キッチンカウンター、洗面台、シンク、テーブル天板、壁面パネルなどに使用。耐水性・耐汚染性・メンテナンス性に優れる |
産地・メーカー | 日本ではアイカ工業、LIXIL(旧サンウエーブ)、クリナップなどが主なメーカー。国内外で広く生産されている |
人工大理石の概要・特徴
人工大理石は、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分として作られた、大理石のような見た目を持つ人工素材です。天然の大理石とは異なり、樹脂で作られているため「人造大理石(セメントなどを固めたもの)」とは区別されます。
最大の特徴は、色や柄のデザインが非常に豊富で、天然石にはないカラーバリエーションや透明感を実現できる点です。また、樹脂の特性を活かして、カウンターとシンクを継ぎ目なく一体で成形できるため、掃除がしやすく見た目も美しい製品を作れます。
人工大理石には、主成分の違いから、主に「アクリル系」と「ポリエステル系」の2種類があります。
- アクリル系人工大理石:透明感があり、美しくしっとりとした質感が特徴です。耐衝撃性や耐候性にも優れ、万が一傷がついても研磨による補修が可能です。一般的にポリエステル系より高価で、ハイグレードなキッチンなどに多く使われます。
- ポリエステル系人工大理石:アクリル系に比べて硬く、光沢感の強い仕上がりが特徴です。比較的安価で、コストパフォーマンスに優れるため、普及価格帯の製品に広く採用されています。
人工大理石のメリットとデメリット
メリット
- デザイン性が高い:色や柄のバリエーションが非常に豊富で、キッチンのイメージに合わせて自由に選べます。
- メンテナンスが容易:素材自体に吸水性がほとんどなく、汚れが染み込みにくいため、普段のお手入れは拭き掃除で簡単に済みます。
- シームレスな一体成形が可能:カウンターとシンクの間に継ぎ目や段差がないため、汚れが溜まらず衛生的です。
- 補修が可能(特にアクリル系):表面についた浅い傷であれば、サンドペーパーなどで研磨することで目立たなくできます。
デメリット
- 熱に弱い:樹脂でできているため、熱い鍋などを直接置くと、変色や変形の原因になります。必ず鍋敷きを使う必要があります。
- 傷がつきやすい:天然石やステンレスに比べると表面が柔らかいため、硬いものを引きずったり、鋭利なものを落としたりすると傷がつくことがあります。
- 質感:天然石が持つ、独特の重厚感やひんやりとした質感は得られません。
- 醤油やカレーなどの着色:色の濃いものを長時間放置すると、シミになってしまうことがあります(近年の製品は耐汚染性が向上しています)。
人工大理石の用途
人工大理石は、その美しいデザイン性とメンテナンス性の良さから、特に水まわりで広く採用されています。
- キッチンカウンター・シンク:最も代表的な用途です。カウンターとシンクが一体になった製品が人気です。
- 洗面化粧台のカウンター・ボウル:こちらもカウンターと洗面ボウルが一体成形されたものが主流で、掃除のしやすさが魅力です。
- 浴室のカウンター・壁パネル:ユニットバスのカウンターや、アクセントとなる壁パネルにも使われます。
- 店舗・商業施設のカウンター:飲食店のカウンターや、ホテルの受付カウンターなど、デザイン性が求められる場所で多用されます。