柔らかく吸湿性が高い天然繊維で、クッション材や内装用ファブリック、吸音パネルなどに使われます。肌触りが良く、安全性にも優れているため、住宅内の布製品にも多用されます。火に弱く、燃えやすいという短所がありますが、難燃処理が施された製品もあります。自然な風合いと快適性が求められる場面に最適です。
名称 | 綿 |
---|---|
大分類 | 繊維・布・紙系 |
小分類 | 天然繊維 |
特徴 | ワタ植物の種子から採取される天然植物繊維(セルロース繊維)。柔らかく、吸湿性・通気性に優れる |
肌目 | 表面はやわらかく、なめらかでマットな質感。生成りや白を基本に、染色も自由度が高く、温かみのある印象 |
用途 | 壁紙(コットンクロス)、カーテン、吸音材、断熱材(綿状パッド)、寝具、クッション材、自然系建材の内装仕上げに使用。調湿性・保温性・肌触りの良さが特長 |
産地・メーカー | 主な原産地はインド・アメリカ・中国・エジプトなど。日本では織物加工(和歌山・愛知など)が中心で、建材用にリサイクル綿なども活用される |
綿の概要・特徴
建築材料としての綿は、衣類などに使われる綿そのものではなく、主に着古したジーンズなどの古着(綿繊維)をリサイクルして作られる、シート状またはマット状の断熱材を指します。「セルロースファイバー」の一種として扱われることもあります。
最大の特徴は、人にも環境にも優しい自然素材であることです。また、綿の繊維が持つ特性から、湿気を吸ったり吐いたりする「調湿性」や、音を吸収する「吸音性」に優れています。
建材として安全に使うため、燃えにくくする「難燃処理」や、カビや虫を防ぐ「防虫・防カビ処理」が施されています。触ってもチクチクしないため、施工時の安全性が高いのも特徴です。
綿のメリットとデメリット
メリット
- 安全性が高い:ガラス繊維のように、施工時に細かい繊維が飛散して肌を刺激することがありません。アレルギーの心配も少なく、健康に配慮した素材です。
- 優れた調湿性能:室内の湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は放出するため、結露の発生を抑制し、快適な室内環境を保つのに役立ちます。
- 高い吸音性:繊維が複雑に絡み合った構造が音のエネルギーを吸収するため、外部の騒音や、室内の生活音が響くのを和らげる効果があります。
- 環境性能が高い:古着をリサイクルして作られるため、環境負荷の少ないサステナブルな材料です。
デメリット
- コストが高い:一般的な断熱材であるグラスウールなどに比べて、材料費・施工費ともに高価になる傾向があります。
- 水に濡れると性能が低下する:多量の水分を含むと、断熱性能が大きく低下し、自重で垂れ下がってしまう可能性があります。施工時には雨濡れなどに細心の注意が必要です。
- 施工できる業者が限られる:まだ普及率が高くないため、取り扱いに慣れている工務店や専門業者が少ないのが現状です。
- 沈下の可能性:壁の中に施工する場合、密度が低いと、長い年月の間に重力で沈下し、壁の上部に隙間ができてしまう可能性があります。適切な密度での施工が重要です。
綿の用途
綿は、その優れた断熱・調湿・吸音性能を活かして、主に住宅の断熱材・吸音材として使用されます。
- 壁の断熱・吸音材:外周壁に充填して断熱性能を高めるほか、部屋と部屋を仕切る壁(間仕切り壁)の中に入れることで、隣の部屋への音漏れを軽減します。
- 天井・屋根裏の断熱材:屋根からの熱の出入りを防ぐために、天井裏や屋根の垂木(たるき)の間に敷き詰めます。
- 床下の断熱材:床下からの冷気を防ぐために、床組の間に充填します。
- 防音室の吸音材:特に高い吸音性を活かし、ホームシアターや楽器を演奏する部屋の壁・天井の吸音材としても有効です。