CLT(直交集成板)とは、板を繊維方向が直交するように積み重ねて接着した大型の木質パネルです。強度と寸法安定性に優れており、壁・床・屋根などの構造材として使われます。プレハブ化しやすく、施工期間の短縮にもつながります。木の断熱性や調湿性も活かせるため、環境配慮型の建築材として注目されています。
名称 | CLT(直交集成板) |
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大分類 | 木材 |
小分類 | 合板・集成材 |
特徴 | 複数のひき板(ラミナ)を、繊維方向が直交するように積層接着した木質材料。3層以上で構成される。 |
肌目 | 板の積層方向によって独特の木目が現れる。表面仕上げにより、木の質感を活かした美しい外観に。 |
香り | 用いる樹種によって異なるが、針葉樹(スギ・カラマツなど)由来の自然な木の香りが感じられる。 |
用途 | 壁・床・屋根などの構造部材に使用。中高層の木造建築にも対応可能な構造材として注目されている。 |
産地・メーカー | 欧州(オーストリア・ドイツなど)が先進地域。日本国内でも普及が進み、北海道・岐阜・高知・熊本などに生産拠点あり。 |
CLT(直交集成板)の概要・特徴
CLTは「Cross Laminated Timber」の略で、「直交集成板」と訳されます。ひき板(ラミナ)の層を、繊維方向が互いに直角に交わるように何層にも重ねて接着した、非常に厚くて巨大な木製パネルです。
例えるなら、「巨大で分厚い合板」のようなイメージです。この巨大なパネルを壁、床、屋根として使い、箱のように建物を組み上げていきます。
最大の特徴は、その圧倒的な強度と剛性です。面全体で力を受け止めるため、地震や風に非常に強く、鉄筋コンクリートに匹敵する性能を持つとされています。これにより、中高層ビルなどの木造建築も可能になりました。
CLTパネルは構造体であると同時に、断熱材や仕上げ材の役割も兼ねる、次世代の木質材料として注目されています。
CLT(直交集成板)のメリットとデメリット
メリット
- 高い耐震性:厚いパネル一体で建物を支えるため、地震の揺れに対して非常に高い強度を発揮します。
- 工期の短縮:工場で精密に製造されたパネルを現場で組み立てるため、現場作業が減り、工期を大幅に短縮できます。
- 設計の自由度:柱や梁が少なくても大空間を構成でき、大きな窓や吹き抜けの設置が容易になります。
- 優れた断熱・蓄熱性:分厚い木質パネルは断熱性が高く、室内環境を快適に保ちます。
デメリット
- コストが高い:新しい技術で普及途上のため、従来の在来工法より建築コストが高くなる傾向があります。
- 重機が必要:パネル一枚が非常に重く、大型クレーンなど重機による運搬・設置が必須です。
- 対応業者が限られる:CLT工法に対応できる設計・施工会社がまだ少ないのが現状です。
- リフォーム制約:壁自体が構造体のため、後からの改修や間取り変更が困難です。
CLT(直交集成板)の用途
CLTはそのまま構造体となるため、以下のように多用途に利用されます。
- 構造躯体:住宅や建築物の壁・床・屋根としてCLTパネルをそのまま構造体に用います。
- 現し仕上げ:室内にCLTパネルを見せる仕上げにより、木の温かみとダイナミックな意匠を演出します。
- 大規模木造建築:集合住宅、オフィス、ホテル、学校、商業施設など、中高層の大規模建築でも採用が広がっています。