織物や不織布をベースにした壁紙で、自然な風合いや高級感が特徴です。吸音性や通気性に優れ、居室や寝室などに適しています。表面が立体的で陰影が生まれやすく、空間に奥行きを与えます。汚れやすさや価格の高さが難点ですが、上質な空間づくりに向いています。

名称布クロス
大分類繊維・布・紙系
小分類 用途別素材
特徴 綿・麻・絹・ポリエステルなどの天然繊維または合成繊維を織物状に加工した内装仕上げ材。紙やビニールを裏打ちして施工性を高めた製品も多い
肌目 表面は繊維特有の柔らかさや温かみがあり、立体感のあるテクスチャが特徴。織り方により、ざっくりとした風合いや光沢感のあるタイプもある
用途 住宅・ホテル・店舗などの内装壁面仕上げに使用。高級感・調湿性・吸音性があり、自然素材志向やデザイン重視の空間に適する
産地・メーカー 国内では京都・福井・新潟などの織物産地で生産されることが多い。建材用途ではサンゲツ、リリカラ、シンコールなどのメーカーが取り扱い

布クロスの概要・特徴

布クロスは、その名の通り、綿(コットン)や麻(リネン)といった天然繊維や、レーヨンなどの化学繊維で織られた布を、壁紙として使えるように紙で裏打ちした内装仕上げ材です。

日本の住宅で最も一般的なビニルクロスとは異なり、本物の織物ならではの豪華で、温かみのある独特の質感が最大の特徴です。光を柔らかく反射し、空間にビニルクロスにはない上品さと重厚感を与えます。

また、繊維の間に隙間があるため、湿気を通す「透湿性」があり、壁が呼吸するような状態を作るため、結露の発生を抑制する効果も期待できます。

布クロスのメリットとデメリット

メリット

  • 高級感のある質感:本物の織物だけが持つ、深みのある豊かな表情が、空間を格調高く演出します。
  • 優れた耐久性:非常に丈夫で、ビニルクロスに比べて摩擦や引っかきに強く、破れにくいです。
  • 継ぎ目が目立ちにくい:織物の特性上、壁紙のつなぎ目であるジョイント部分がビニルクロスほど目立ちにくく、美しい仕上がりになります。
  • 調湿性がある:繊維が湿気を吸ったり吐いたりするため、室内の湿度をある程度調整するのに役立ちます。

デメリット

  • コストが高い:材料費も、専門的な技術が必要な施工費も、一般的なビニルクロスに比べて高価になります。
  • 汚れやすく、掃除がしにくい:水分や油分を吸収しやすいため、一度ついた汚れはシミになりやすく、水拭きもできません。ホコリも付着しやすいため、定期的なハタキがけなどが必要です。
  • ニオイがつきやすい:繊維が生活臭やタバコのニオイなどを吸収しやすいため、キッチンや喫煙する部屋には向きません。
  • 施工が難しい:布が伸びたり、接着剤が表面に染み出したりするリスクがあるため、施工には高い技術を持つ職人が必要です。

布クロスの用途

布クロスは、そのデリケートな性質から、汚れにくい場所で、高級感や落ち着いた雰囲気を演出したい空間に使われます。

  • 客間・応接室:来客を迎えるフォーマルな空間に、重厚感と格式を与えます。
  • 寝室:落ち着いた雰囲気がリラックスできる空間づくりに適しており、ホテルのような上質な寝室を演出します。
  • 書斎:クラシックで落ち着いた書斎の壁材として。
  • ホテルの客室・ラウンジ:不特定多数の人が利用する場所でも、高級感を重視する空間で採用されます。