非常に高い耐熱性を持つ繊維素材で、工業用断熱材や高温部の防火・耐熱断熱材として使われます。1000℃を超える高温にも耐え、窯や煙突、耐火区画などに適用されます。軽量で施工しやすいですが、粉塵や繊維の飛散による健康リスクへの配慮が必要です。断熱性能と耐火性能を同時に求める場面で活躍します。
名称 | セラミックファイバー |
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大分類 | 繊維・布・紙系 |
小分類 | 人工繊維 |
特徴 | アルミナ(Al₂O₃)やシリカ(SiO₂)などの無機材料を高温で溶融し、繊維状に成形した耐火性セラミック繊維。不燃・断熱性能に優れる |
肌目 | 見た目は白色〜灰白色の綿状またはフェルト状。軽量でふわっとした質感だが、耐熱性能は非常に高い |
用途 | 耐火断熱材・工業炉の内張り・煙突・ダクト周り・防火区画・遮熱カーテンなど。高温断熱・不燃・軽量化が求められる場面で使用 |
産地・メーカー | 世界的にはアメリカ・中国・インドなどが主要生産国。日本ではニチアス、日東紡、パラマウント硝子工業などが製造・施工展開中 |
セラミックファイバーの概要・特徴
セラミックファイバーは、アルミナやシリカといったセラミック(陶磁器の仲間)を高温で溶かし、非常に細い繊維にして綿状に加工した、特殊な断熱材です。
最大の特徴は、1000℃を超えるような超高温にも耐える「極めて高い耐熱性」です。一般的な省エネを目的とした断熱材とは一線を画し、主に火災から建物の重要な部分を守るための「耐火材」として使われます。
見た目は白く、綿のように軽くて柔らかいため、柔軟性があり、複雑な形状の場所にも巻き付けたり、詰め込んだりしやすいという施工性の良さも持っています。
セラミックファイバーのメリットとデメリット
メリット
- 極めて高い耐熱性・耐火性:一般的な建材が燃えたり溶けたりするような高温下でも、その性能を維持し、火災の延焼を防ぎます。
- 優れた断熱性:熱を非常に伝えにくいため、高温になる場所からの熱を効果的に遮断します。
- 軽量で施工性が良い:軽くて柔軟なため、運搬や取り扱いが容易で、複雑な箇所にも隙間なく施工することができます。
- 化学的に安定:腐食したり、薬品の影響を受けたりすることがほとんどなく、長期間にわたって性能が劣化しにくいです。
デメリット
- 非常に高価:特殊な材料であるため、グラスウールなどの一般的な断熱材と比べて、コストは格段に高くなります。
- 健康への配慮が必要:施工時に細かい繊維が飛散しやすく、吸い込むと健康に影響を及ぼす可能性があるため、専門家が防塵マスクなどの厳重な防護措置をとって施工する必要があります。
- 吸水性がある:水分を吸収すると断熱性能が低下する可能性があるため、水に濡れない場所で使用することが基本です。
セラミックファイバーの用途
セラミックファイバーは、その高い耐熱性能から、一般住宅では火災の危険性が特に高い、限定的な場所で使われます。
- 薪ストーブ・暖炉の断熱材:最も代表的な用途です。ストーブ本体と壁の間に設置する遮熱板の断熱材や、煙突が壁や屋根を貫通する部分の隙間に充填する耐火材として使われます。
- 防火区画の貫通部処理:壁や床を配管などが貫通する部分で、火災時に炎や煙が他の部屋へ広がるのを防ぐための「耐火パテ」や「耐火材」の主原料として。
- 耐火被覆材として:(住宅では稀ですが)鉄骨造の建物で、火災時に鉄骨が熱で強度を失うのを防ぐために、柱や梁に巻き付ける材料として使われることがあります。