無機質(セラミック)を含む塗料で、耐久性・遮熱性・低汚染性に優れた高機能塗料です。表面に親水性を持ち、雨で汚れを流し落とす「セルフクリーニング効果」が期待できます。断熱性や遮音性がある製品もあり、高性能住宅や商業施設などで活用されています。価格は高めですが、機能性と美観を両立できる塗料です。

名称セラミック塗料
大分類塗料
小分類 -
特徴 樹脂塗料(アクリル・ウレタン・シリコンなど)に、セラミック粒子(無機微粒子)を配合したハイブリッド塗料。無機の特性を活かして機能性を高めている
肌目 高級感ある半ツヤ〜ツヤ消しの質感。セラミック粒子の効果でマットで上質な風合いや防汚性の高い仕上がりが得られる
用途 戸建住宅・マンションの外壁・屋根・内壁・商業施設など。耐候性・遮熱性・防汚性・低汚染性・防カビ性などを求める建物に使われる
産地・メーカー 日本ではエスケー化研(クリーンマイルドシリーズ)、関西ペイント、日本ペイント、ダイフレックスなどが製造。建築用高機能塗料として全国で採用

セラミック塗料の概要・特徴

セラミック塗料とは、一般的に、アクリル樹脂やシリコン樹脂といった塗料の主成分(樹脂)の中に、セラミック成分を混ぜ込んだ塗料の総称です。注意すべきは、「セラミック」という名前の樹脂が存在するわけではない、という点です。

混ぜ込むセラミック成分の種類によって、塗料に様々な付加機能を持たせることができます。例えば、中が空洞のセラミックビーズを混ぜ込めば「断熱・遮熱効果」を、石のような質感のセラミックを混ぜ込めば「意匠性(デザイン性)」を、非常に硬いセラミックを混ぜ込めば「低汚染性(汚れにくさ)」を高めることができます。

つまり、「セラミック塗料」というだけでは性能は判断できず、ベースとなっている樹脂の種類(シリコン系か、フッ素系かなど)と、どんな目的でどんなセラミックが配合されているかによって、その塗料の本当の性能やグレードが決まります。

セラミック塗料のメリットとデメリット

メリット

  • 多彩な付加機能:配合されるセラミックによって、「断熱・遮熱」「低汚染」「意匠性」といった、通常の塗料にはないプラスアルファの機能を持たせることができます。
  • 高い耐久性(製品による):ベースとなる樹脂のグレードが高ければ(シリコンやフッ素など)、それに伴って塗料自体の耐久性も高くなります。
  • 重厚感のある仕上がり(意匠性タイプの場合):石のような質感のセラミックを配合したタイプは、吹付塗装などで、高級感のあるザラザラとした風合いの壁面を作り出すことができます。

デメリット

  • コストが高い:特殊なセラミックを配合している分、同じ樹脂グレードの一般的な塗料に比べて価格は高価になります。
  • 性能の判断が難しい:単に「セラミック塗料」という名称だけでは、その性能や耐久性はわかりません。ベース樹脂が何か、セラミックの含有量はどのくらいか、などをしっかり確認する必要があります。
  • ひび割れしやすい場合がある:石のような硬い質感に仕上げるタイプは、塗膜が硬くなるため、ひび割れ(クラック)が発生しやすいモルタル壁などには向かない場合があります。
  • 専門的な施工技術が必要:特に意匠性の高いタイプは、吹付塗装の技術など、職人の腕前によって仕上がりが大きく左右されます。

セラミック塗料の用途

セラミック塗料は、その付加機能に応じて、様々な目的で使われます。

  • 外壁・屋根の塗装:「断熱・遮熱」タイプのセラミック塗料は、夏の室温上昇を抑え、省エネ効果を高めたい場合に。また、「低汚染」タイプのものは、外壁の美観を長期間維持したい場合に選ばれます。
  • デザイン性の高い外壁仕上げ:「意匠性」タイプのセラミック塗料は、石材調の重厚な外観に仕上げたい場合に、吹付工法で施工されます。