セメントに繊維などを加えて板状に成形した外壁・下地用の建材です。耐火性・耐水性・寸法安定性に優れており、タイル貼りや外装下地として用いられます。屋外や湿気の多い場所でも使いやすく、耐久性も高いです。重さがあるため、取り扱いにはある程度の施工技術が求められます。

名称セメントボード
大分類コンクリート・セメント系
小分類 セメント系
特徴 セメントを主成分に、パルプ繊維・ガラス繊維などを混合・圧縮成形した板材(繊維補強セメント板)。耐水性・耐火性に優れる
肌目 表面はフラットでややざらつきのある無機質な質感。仕上げ材の下地として用いられることが多く、塗装やタイル施工が可能
用途 外壁下地、浴室・水回りの下地材、外装パネル、防火壁、軒天、外断熱工法のベース材など。耐水・防火・寸法安定性に優れる
産地・メーカー 日本ではケイミュー、ニチアス、神島化学工業、吉野石膏などが製造・販売。国内工場で生産され、全国で広く流通している

セメントボードの概要・特徴

セメントボードは、その名の通りセメントを主原料として、繊維などで補強して作られた板状の建築材料です。広義には、日本の住宅で最も普及している外壁材「窯業(ようぎょう)系サイディング」も、このセメントボードの一種に含まれます。

最大の特徴は、セメントが主原料であるため、火に非常に強く燃えない「不燃性」と、水や湿気で腐ったり錆びたりしない「高い耐久性・耐水性」を併せ持っている点です。

また、温度や湿度による伸び縮みが少ないため寸法が安定しており、施工後の変形も起こりにくいです。ただし、石に近い素材なので重量があり、硬くて加工には専用の工具が必要になります。

セメントボードのメリットとデメリット

メリット

  • 優れた耐火性:不燃材料であるため、火災に非常に強いです。キッチンのコンロ周りなど、火気を使う場所の壁にも安心して使えます。
  • 高い耐久性・耐水性:湿気や水に強く、腐食やシロアリの被害の心配がありません。屋外や水まわりにも適しています。
  • 寸法安定性:温度や湿度の変化による変形が少ないため、施工後の狂いや歪みが生じにくいです。
  • 遮音性が高い:密度が高く重いため、音を遮る効果があり、外部の騒音を軽減するのに役立ちます。

デメリット

  • 重量がある:石膏ボードなどに比べて非常に重いため、運搬や施工時の取り扱いが大変で、建物への負荷も大きくなります。
  • 加工が難しい:非常に硬いため、現場での切断には専用のカッターや電動工具が必要です。また、加工時に多くの粉塵が発生します。
  • 衝撃で割れやすい:弾力性があまりないため、強い衝撃が加わると、角が欠けたり、割れたりしやすいです。
  • 防水性:素材自体に吸水性があるため、外壁などで使用する場合は、表面の塗装やシーリングによる防水処理が不可欠です。

セメントボードの用途

セメントボードは、その優れた耐久性と不燃性から、建物の内外装や下地材として幅広く利用されています。

  • 外壁材:窯業系サイディングとして、戸建て住宅の外壁に最も多く使われます。
  • 内装材:素地のまま、あるいは塗装して、内壁や天井の仕上げ材として。インダストリアルでモダンな雰囲気を演出します。
  • 下地材:耐火性・耐水性が求められる壁や床の下地として。特に、キッチンのコンロ周りの壁下地(不燃ボード)や、タイルを張る前の下地調整などに使われます。
  • 軒天材:屋根の軒裏(軒天)は、防火性能と耐候性が求められるため、セメントボードが適しています。