セメントに発泡剤を混ぜて作られた軽量パネルで、断熱性・防火性・遮音性に優れた建材です。主に外壁・間仕切り壁・屋根下地などに使われます。軽量ながら強度があり、木造から鉄骨まで幅広い構造に対応可能です。吸水性があるため、防水仕上げを併用する必要があります

名称ALC(軽量気泡コンクリート)
大分類コンクリート・セメント系
小分類 コンクリート
特徴 珪石、セメント、生石灰、発泡剤(アルミ粉)などを混合・発泡・高圧蒸気養生して成形した軽量コンクリートパネル。内部に微細な気泡を含む
肌目 表面は白っぽくマットで軽石状の質感。サイディング状やパネル状に加工され、塗装や仕上げ材で意匠性も付加可能
用途 戸建住宅・中高層建築の外壁・間仕切壁・床・屋根パネルなどに使用。軽量・断熱・防火・遮音性に優れる
産地・メーカー 国内では旭化成建材(ヘーベル)、クリオン、東洋ALCなどが代表的メーカー。全国に製造拠点あり、工場製品として出荷される

ALC(軽量気泡コンクリート)の概要・特徴

ALCとは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略で、日本語では「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」と呼ばれます。セメント、珪石(けいせき)、生石灰などを主原料としています。

製造過程で発泡剤を加えることで、内部に無数の細かい気泡を含ませているのが特徴です。この気泡のおかげで、コンクリートという名前でありながら、水に浮くほど非常に軽いという性質を持っています。普通のコンクリートの約4分の1の重さです。

この内部の気泡は、空気の層として機能するため、高い断熱性を発揮します。また、主成分が無機質のため、優れた耐火性も併せ持っています。建材としては、工場でパネル状に成形された「ALCパネル」として、主に鉄骨造の建物で使われます。

ALC(軽量気泡コンクリート)のメリットとデメリット

メリット

  • 軽量で耐震性に有利:建物全体の重量を軽くできるため、地震の際の揺れによる構造への負担を軽減できます。
  • 優れた断熱性:内部の気泡が熱の伝わりを抑えるため、夏は涼しく冬は暖かく、快適な室内環境を保ちやすく、省エネに貢献します。
  • 高い耐火性:不燃材料であるため火災に強く、万が一の際も燃え広がりにくいです。
  • 優れた遮音性:多孔質な構造が音を吸収するため、外部の騒音を和らげる効果が期待できます。

デメリット

  • 水に弱い:非常に水を吸いやすい性質を持っています。そのため、表面の防水塗装やパネルの継ぎ目を埋めるシーリング材が劣化すると、内部に水が浸入し、もろくなる原因になります。
  • 定期的なメンテナンスが必須:上記の理由から、防水性能を維持するために、10年~15年を目安とした定期的な塗装やシーリングのメンテナンスが欠かせません。
  • 衝撃に弱い:表面の強度はそれほど高くないため、硬いものを強くぶつけると欠けやすいという弱点があります。
  • コストが比較的高め:一般的なサイディングなどに比べると、材料費・施工費ともに高くなる傾向があります。

ALC(軽量気泡コンクリート)の用途

ALCパネルは、その優れた性能から、主に鉄骨造の建物で幅広く利用されています。

  • 外壁材:最も代表的な用途です。戸建て住宅から、マンション、ビル、工場、倉庫まで、様々な建物の外壁に使われます。
  • 床材:床用の厚いALCパネルは、建物の床下地として使われます。
  • 屋根材:陸屋根(平らな屋根)の下地材として。
  • 間仕切り壁:耐火性や遮音性の高さを活かし、集合住宅の戸境壁(隣戸との間の壁)などにも使用されます。