高い透明性と光沢が特徴で、ガラスの代替として使われることが多い素材です。耐候性に優れており、屋外の看板や照明カバー、間仕切りなどに利用されます。割れにくく、加工性にも優れていますが、表面は傷つきやすいため注意が必要です。高級感のある仕上がりを求める場面で人気があります。
名称 | アクリル樹脂 |
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大分類 | 樹脂(プラスチック系) |
小分類 | 熱可塑性樹脂 |
特徴 | アクリル酸またはメタクリル酸を主成分とした合成樹脂。代表的な製品に「アクリル板(PMMA=ポリメタクリル酸メチル)」がある |
肌目 | 非常に透明度が高く、ガラスに似たツヤと光沢感がある。カラーバリエーションも豊富で、表面はなめらか |
用途 | サイン・照明カバー・パーティション・浴槽・洗面ボウル・天板材・装飾パネルなど。透明性と加工性を活かした建材に利用される |
産地・メーカー | 日本では三菱ケミカル(アクリライト)、住友化学、クラレなどが主要メーカー。国内製品は品質・透明度ともに高評価 |
アクリル樹脂の概要・特徴
アクリル樹脂は、透明なプラスチックの代表格で、正式には「ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)」と呼ばれます。そのずば抜けた透明度から「プラスチックの女王」との異名を持ち、ガラス以上の透明性を誇ることもあります。
最大の特徴は、この極めて高い透明性と、プラスチックの中でもトップクラスの優れた耐候性です。屋外で長期間、太陽の光(紫外線)にさらされても、変色や劣化が起こりにくいという性質を持っています。
また、熱を加えることで比較的簡単に曲げたり、様々な形に加工したりすることができ、着色も容易なため、デザインの自由度が高い素材です。水族館の巨大な水槽や、戦闘機の風防(キャノピー)などにも使われるほど、強度と透明性を両立しています。
アクリル樹脂のメリットとデメリット
メリット
- 最高の透明性:光を非常によく通し、ガラスのようなクリアな質感を持っています。
- 優れた耐候性:屋外で使っても黄ばんだり、もろくなったりしにくく、長期間美観を保ちます。
- 軽量で安全:同じ厚さのガラスに比べて重さは約半分と軽量です。また、割れてもガラスのように鋭く飛び散らないため、安全性が高いです。
- 高い加工性:切断、穴あけ、曲げ、接着といった加工がしやすく、デザインの自由度が高いです。
デメリット
- 表面が傷つきやすい:硬いもので擦ると傷がつきやすいため、掃除の際には柔らかい布を使うなどの配慮が必要です。
- 薬品に弱い:アルコールやシンナーなどの有機溶剤に触れると、ひび割れや白化を起こすことがあります。
- 熱に弱い:他の高機能プラスチックに比べて耐熱性はそれほど高くなく、高温で変形する可能性があります。
- 比較的高価:PVC(塩ビ)などの汎用プラスチックに比べると、材料の価格は高めです。
アクリル樹脂の用途
アクリル樹脂は、その美しい見た目と優れた耐候性を活かして、デザイン性が求められる場所や、屋外で使われるものに幅広く採用されています。
- 照明器具のカバー:シーリングライトやペンダントライトなど、光を拡散させるカバーとして使われます。
- 看板・サイン:屋外の店舗看板や案内表示板などに、その耐候性と加工性の高さから広く利用されています。
- 装飾パネル・間仕切り:透明やカラーのアクリル板を、室内のパーテーションやデザインパネルとして使うことがあります。
- 屋根材:カーポートやアーケードの屋根材として使われることがあります(近年はより強度が高いポリカーボネートが主流です)。
- 塗料の主成分:「アクリル塗料」として、外壁塗装などに使われます。塗膜の耐久性や耐候性を高める役割を担っています。