古新聞などの再生紙を原料とした自然素材の断熱材で、調湿性・吸音性・断熱性に優れています。吹き込み工法で隙間なく充填できるため、気密性と断熱性が高まります。ホウ酸などで防虫・防カビ処理が施されており、安全性も確保されています。自然素材志向の住宅やZEH住宅に好まれるエコ断熱材です。
名称 | セルロースファイバー |
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大分類 | 防水・断熱材 |
小分類 | - |
特徴 | 新聞紙などの古紙を原料とした天然系繊維断熱材。ホウ酸などの防虫・防カビ処理が施されている |
肌目 | 綿状で柔らかく、グレーがかった色合い。吹込み施工が主で、壁の中に隙間なく充填される。手触りはふわふわしている |
用途 | 住宅の壁・天井・床の断熱・吸音材。調湿性・防音性・断熱性に優れ、自然素材志向の住宅やZEH住宅にも採用 |
産地・メーカー | 日本ではデコス(山口県)やマツナガなどが製造・施工を展開。専用機械と認定技術者による施工が必要な工法が一般的 |
セルロースファイバーの概要・特徴
セルロースファイバーは、新聞古紙などをリサイクルして細かく粉砕し、綿(わた)状に加工した、天然の木質繊維断熱材です。
最大の特徴は、非常に高い「断熱」「調湿」「吸音」「防火」「防虫」という5つの性能を、バランス良く併せ持っている点です。木質繊維が持つ多くの空気層が熱の伝わりを抑え(断熱)、湿気を吸ったり吐いたりし(調湿)、音のエネルギーを吸収します(吸音)。
また、安全な薬品であるホウ酸を混ぜ込むことで、燃えにくくする「難燃性」と、シロアリなどの害虫やカビを防ぐ「防虫・防カビ効果」を加えています。施工は、専用の機械を使って壁の中や天井裏に隙間なく吹き込む「ブローイング工法」で行うのが一般的です。
セルロースファイバーのメリットとデメリット
メリット
- 高い断熱・気密性能:綿状の断熱材を吹き込んで施工するため、コンセント周りなどの細かい部分にも隙間なく充填でき、非常に高い断熱性と気密性を確保できます。
- 優れた調湿効果:「呼吸する断熱材」とも言われ、室内の湿度を快適に保ち、結露の発生を抑制します。これにより、建物の耐久性向上にも繋がります。
- 高い吸音性能:車の音や話し声などの音を効果的に吸収するため、静かな室内環境を実現します。
- 環境性能と安全性:新聞古紙をリサイクルして作られるため環境に優しく、また、健康に有害な化学物質も含まないため安全です。
デメリット
- コストが高い:グラスウールなどの一般的な断熱材に比べて、材料費も専門機械を使う施工費も高価になります。
- 施工に専門技術が必要:専用の機械を使い、適切な密度で均一に吹き込む必要があるため、専門の知識と技術を持った業者による施工が不可欠です。
- 水濡れに弱い:大量の水に濡れると、自重で沈下したり、乾きにくくカビの原因になったりする可能性があります。施工中の雨濡れなどには細心の注意が必要です。
- ホコリが出やすい:吹き込み工事の際には、細かい紙の粉塵が多く発生します。
セルロースファイバーの用途
セルロースファイバーは、その多機能性を活かして、住宅の断熱・調湿・吸音材としてあらゆる場所で使われます。
- 壁の断熱:柱と柱の間に、シートを張ってから吹き込む「乾式工法」や、水分を混ぜて吹き付ける「湿式工法」で施工します。
- 天井裏・屋根裏の断熱:天井裏に、規定の厚さになるまで均一に吹き積もらせて施工します。
- 床下の断熱:床組の間に吹き込んで断熱します。
- 間仕切り壁・床の吸音:部屋と部屋を仕切る壁や、1階と2階の間の床(天井裏)に充填することで、生活音の伝わりを大幅に軽減します。