ポリスチレン樹脂をビーズ状に発泡させて成形した断熱材で、一般には発泡スチロールとして知られています。軽量で加工がしやすく、住宅の床下・壁・屋根などに幅広く使用されています。断熱性能は中程度ですが、コストが安く扱いやすいため広く普及しています。吸水性があるため、湿気の多い場所では注意が必要です。

名称ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
大分類防水・断熱材
小分類 -
特徴 発泡スチロール(ポリスチレン樹脂)を小さなビーズ状に発泡・成形した断熱材。無数の独立気泡を含む軽量な素材
肌目 白色でビーズが集合したザラつきのある質感。手で触ると粒の集合体が確認でき、XPSよりもやや粗めの外観
用途 住宅の壁・天井・床の断熱、外断熱工法(EIFS)や地盤調整材、梱包材など。コストが安く、軽量で施工しやすいのが特徴
産地・メーカー 日本では積水化成品工業、JSP、カネカなどが製造。建築用途の他にも、土木・産業資材として広く利用されている

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の概要・特徴

ビーズ法ポリスチレンフォームは、原料であるポリスチレン樹脂の小さな粒(ビーズ)を、蒸気の熱で膨らませて金型の中でくっつけ、ブロック状に成形した断熱材です。一般的には「EPS」という略称で呼ばれ、魚箱などに使われる「発泡スチロール」と、基本的に同じものです。

最大の特徴は、製品の体積の約98%が空気でできているため、断熱材の中でも特に軽量であることです。この内部に閉じ込められたたくさんの空気が、熱の伝わりを効果的に防ぎ、高い断熱性能を発揮します。

また、比較的安価で、現場ではカッターナイフなどで簡単に切断できるため、コストパフォーマンスと施工性に優れています

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のメリットとデメリット

メリット

  • 非常に軽量:断熱材の中でもトップクラスに軽いため、運搬や施工が容易で、建物への構造的な負担も少ないです。
  • 優れた断熱性:多くの空気を含むことで熱を伝えにくくし、高い断熱効果を発揮します。
  • コストパフォーマンスが高い:高い断熱性能を持ちながら、比較的安価に手に入れることができます。
  • 加工性が良い:柔らかく、現場で簡単に切断・加工できるため、施工性に優れています。

デメリット

  • 水・湿気に弱い:小さなビーズの集合体であるため、粒と粒の間に隙間があり、水を吸いやすいです。水に濡れると断熱性能が低下するため、湿気対策が重要です。
  • 強度が低い:同じポリスチレン系の断熱材である押出法(XPS)に比べると、圧縮に対する強度は劣ります。
  • 熱に弱い:高温になると溶けたり変形したりします。火気の近くでの保管や使用には注意が必要です。
  • 紫外線に弱い:日光に長時間当たると表面が劣化し、黄色く変色してもろくなるため、壁の中など光が当たらない場所で使う必要があります。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の用途

EPSは、その優れた断熱性とコストパフォーマンスから、主に住宅の断熱材として幅広く利用されています。

  • 壁の断熱(充填断熱):柱と柱の間に、ボード状のEPSをはめ込む形で使用されます。
  • 壁の断熱(外張り断熱):柱の外側から家全体をEPSの板で覆う「外張り断熱」工法で、その軽量性と施工性の良さが活かされます。
  • 屋根・天井断熱:屋根の下地や天井裏に施工し、夏の日差しや冬の冷気が室内に影響するのを防ぎます。