玄武岩などの鉱物を高温で溶かして繊維化した断熱材で、耐熱性・不燃性・吸音性に優れています。工場やビルなど、より高い耐火性能が求められる建築物で使用されます。グラスウールより吸湿性が低く、湿気の多い環境でも安定した性能を発揮します。重量はやや重く、施工には丁寧な取扱いが必要です。
名称 | ロックウール |
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大分類 | 防水・断熱材 |
小分類 | - |
特徴 | 玄武岩や高炉スラグなどの鉱石を高温で溶かし、綿状に繊維化した無機繊維系断熱材。製造方法はグラスウールに近いが、原料が異なる |
肌目 | やや密度が高く、ざらっとした手触りのマット状繊維。色は灰白色〜薄黄色が多い。吸音性に優れる |
用途 | 住宅・ビル・工場などの壁・天井・床の断熱・防音・耐火層として使用。高温・高湿環境にも強く、火に非常に強い |
産地・メーカー | 日本ではニチアス、パラマウント硝子工業、日東紡などが製造。工業用・建築用いずれにも広く流通している |
ロックウールの概要・特徴
ロックウールは、製鉄所で鉄を作る際に出る副産物(高炉スラグ)や、玄武岩などの天然岩石を高温で溶かし、遠心力で吹き飛ばして繊維状に加工した、人造の鉱物繊維断熱材です。「岩綿(いわわた)」とも呼ばれます。
グラスウールとよく似ていますが、原料が岩石であるため、グラスウールよりもさらに高い耐熱性・耐火性を持つことが最大の特徴です。また、繊維が短く密度が高いため、優れた吸音性も発揮します。
製品には、あらかじめ撥水処理が施されているものが多く、水を弾きやすい性質を持っています。形状は、グラスウールと同様に、板状(ボード状)やロール状のものがあります。
ロックウールのメリットとデメリット
メリット
- 極めて高い耐火性:融点が非常に高いため、火災の際にも燃えにくく、有毒ガスの発生もありません。耐火性が求められる鉄骨造の建物の耐火被覆などにも使われます。
- 優れた断熱性:繊維間に多くの空気を含むため、高い断熱性能を発揮し、省エネな家づくりに貢献します。
- 高い吸音性能:特に車の走行音などの中高音域の音をよく吸収するため、静かな室内環境を作るのに役立ちます。
- 耐久性が高い:無機質であるため、腐ったり、シロアリの被害を受けたりすることがなく、長期間にわたって性能を維持します。
デメリット
- 湿気に弱い:撥水処理はされていますが、多量の水分を含むと、断熱性能が低下する可能性があります。施工時には防湿対策が重要です。
- コストが比較的高め:一般的なグラスウールに比べて、材料費が高くなる傾向があります。
- 重量がある:グラスウールよりも密度が高く重いため、運搬や取り扱いには手間がかかります。
- 肌への刺激:施工時に細かい繊維が飛散し、肌に付着するとチクチクとした刺激を感じることがあります。ただし、壁の中に収まってしまえば居住者への影響はありません。
ロックウールの用途
ロックウールは、その高い断熱・耐火・吸音性能を活かして、住宅からビルまで幅広い建物で使われます。
- 住宅の断熱材:壁、天井、床下などに充填する断熱材として。特に、防火性能を重視する場合に選ばれることがあります。
- 鉄骨造の耐火被覆材:火災の熱から鉄骨を守るために、柱や梁に吹き付けたり、巻き付けたりして使われます。
- 吸音材:オーディオルームや、集合住宅の戸境壁(隣戸との間の壁)など、高い吸音性能が求められる場所。
- 工場・プラントの断熱:高温になる配管や設備の断熱材としても利用されます。