亜麻の種子から採れる植物油で、乾燥すると木に浸透して強固な塗膜を形成します。深みのある色合いと自然な風合いが得られ、木材保護に優れています。乾燥に時間がかかる点や、乾燥中ににおいがある点がデメリットです。木工製品や内装木部の自然仕上げとして人気があります。

名称亜麻仁油(リンシードオイル)
大分類塗料
小分類 自然塗料
特徴 アマ(亜麻)の種子から搾った植物性オイル。乾性油の一種で、空気中の酸素と反応して固まり、木材保護に用いられる。英語名は Linseed Oil(リンシードオイル)
肌目 木に深く浸透して濡れ色(やや飴色)になる。塗膜は作らず、自然な質感と柔らかな艶を与える。木目がくっきりと際立つ
用途 無垢木材の床、家具、天板、建具、ウッドデッキ、屋外木部などの保護に使用。防水・防汚効果と木の調湿性を損なわない特性がある
産地・メーカー 主にヨーロッパ(ドイツ、ベルギー、イギリスなど)産。国産やDIY用はAURO、オスモ、リボス、未晒しオイルなどの自然塗料メーカーから販売

亜麻仁油(リンシードオイル)の概要・特徴

亜麻仁油(あまにゆ)は、亜麻という植物の種子から抽出される天然の植物油です。英語では「リンシードオイル」と呼ばれます。

最大の特徴は、空気中の酸素に触れることで、ゆっくりと化学反応を起こして自然に硬化する「乾性油(かんせいゆ)」であることです。この性質を利用して、古くから木材を保護するための塗料として世界中で使われてきました。

木材に塗ると、表面に膜を作るのではなく、内部に深く浸透して硬化します。これにより、木の呼吸(調湿機能)を妨げることなく、木目を美しく引き立たせながら、内側から保護します。仕上がりは、色が濃くなる「濡れ色」になるのが特徴です。

亜麻仁油(リンシードオイル)のメリットとデメリット

メリット

  • 安全性が高い:100%天然成分のため、化学物質を含まず、人体にも環境にも非常に優しいです。
  • 木目を美しく見せる:木材に深く浸透し、木目を際立たせるため、木の持つ本来の美しさを最大限に引き出します。
  • 木の呼吸を妨げない:木材の調湿機能を維持するため、結露の抑制などに貢献します。
  • DIYでも扱いやすい:刷毛や布で簡単に塗ることができるため、DIYでの家具塗装などにも適しています。

デメリット

  • 乾燥が非常に遅い:完全に硬化するまでに数日から数週間、場合によってはそれ以上かかることもあります。
  • 保護性能は高くない:ウレタン塗装などの合成塗料に比べて塗膜が弱いため、傷や汚れ、熱に対する保護性能は劣ります。
  • 定期的なメンテナンスが必要:効果を維持するためには、定期的な塗り重ねが必要です。
  • 自然発火の危険性:亜麻仁油が付着した布や紙などを、そのまま放置すると、酸化反応の熱で自然に発火する危険性があります。使用済みの布などは、必ず水に浸してから捨てるなど、厳重な管理が必要です。

亜麻仁油(リンシードオイル)の用途

亜麻仁油は、主に屋内の木部を、自然な風合いを活かしながら保護したい場合に利用されます。

  • 内装の木部塗装:無垢材のフローリング、壁板、柱、梁、カウンターなど。
  • 木製家具の仕上げ:テーブルや椅子、棚などの保護塗装として。
  • DIYでの木工品塗装:自分で作った木工品の仕上げ塗料として、手軽に利用できます。
  • 油絵の具の原料:(建材とは異なりますが)絵の具を溶くための油としても広く使われています。