ベルギー発祥の左官材料で、セメントに樹脂を混ぜた高機能な薄塗りモルタルです。防水性・柔軟性・耐摩耗性に優れ、キッチンカウンターや浴室、床、家具の仕上げにも使えます。コンクリート調の高級感ある仕上がりが可能で、薄く塗れるため軽量かつひび割れしにくいのも特徴です。高価で専門施工が必要ですが、デザイン性と機能性を両立できる素材です。
名称 | モールテックス |
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大分類 | 左官材 |
小分類 | - |
特徴 | セメント系鉱物素材に樹脂や顔料を混ぜた高性能左官材。ベルギーのBEAL社が開発した薄塗り仕上げ材で、防水性と柔軟性を併せ持つ |
肌目 | 表面はコテ跡を生かしたマット〜半光沢の質感。モダンで無機質な雰囲気が特徴で、カラーやテクスチャの調整も可能 |
用途 | キッチン天板・洗面カウンター・床・壁・浴室・外部階段・家具の表面仕上げなど。防水性・接着性・耐摩耗性・デザイン性に優れる |
産地・メーカー | 製造元はベルギーのBEAL社。日本では正規代理店や施工認定業者を通じて施工されるケースが多く、現場調合が基本 |
モールテックスの概要・特徴
モールテックス(MORTEX)は、ベルギーのメーカーが開発した、セメントに特殊な樹脂(ポリマー)を混ぜて作られる、薄塗りの左官材料です。コンクリートやモルタルのような見た目を持ちながら、それらとは全く異なる性能を持っています。
最大の特徴は、わずか1~3mmという薄塗りでありながら、高い防水性と、優れた接着力、そして強靭な表面強度を併せ持つ点です。この防水性のおかげで、通常は防水工事が必要なキッチンや浴室などにも、シームレスに施工することができます。
また、タイルや合板など、様々な素材の上に直接塗ることができるため、リフォームにも適しています。職人がコテで一層一層塗り重ねて仕上げるため、独特のムラや陰影が生まれ、一つとして同じものがない、味わい深い仕上がりになります。
モールテックスのメリットとデメリット
メリット
- 優れた防水性:水を通さないため、キッチンカウンターとシンクを一体で造作したり、浴室の壁や床に採用したりと、水まわりでデザインの可能性が大きく広がります。
- 継ぎ目のない美しい仕上がり:床、壁、カウンターなどを、継ぎ目なく一面に仕上げることができます。汚れが溜まる目地がないため、衛生的でお手入れも楽です。
- 高い表面強度と柔軟性:非常に硬く、擦れや傷に強いです。また、コンクリートと違って柔軟性があるため、ひび割れが起きにくいのも特徴です。
- 様々な下地に施工可能:接着力が高いため、既存のタイルや合板、MDFなどの上からでも施工でき、リフォームに適しています。
デメリット
- コストが非常に高い:材料費も高価ですが、何よりも専門的な技術を持つ左官職人による手間のかかる手作業が必要なため、施工費が非常に高額になります。
- 職人の技術力に仕上がりが左右される:コテの跡や色の濃淡は、職人の腕前によって大きく変わります。均一な工業製品ではないため、仕上がりのイメージを事前に共有することが重要です。
- ひび割れのリスク:柔軟性はあるものの、下地となる建物の動きなどによっては、表面にひび割れ(クラック)が発生する可能性はゼロではありません。
- シミになりやすい:油や酸性の液体(レモン汁など)を長時間放置すると、シミになる可能性があります。表面を保護するためのトップコートは必須で、汚れたらすぐに拭き取るなどの配慮が必要です。
モールテックスの用途
モールテックスは、その高い機能性と意匠性を活かして、デザイン性を重視する空間の様々な場所で使われます。
- キッチンカウンター・壁:防水性とデザイン性を活かした、最も人気の高い用途です。
- 洗面化粧台・浴室:カウンターと洗面ボウルを一体で造作したり、浴室の壁や床をシームレスに仕上げたりします。
- 床・壁・天井:リビングや玄関などの床や壁に用い、コンクリートのような無機質でモダンな空間を演出します。
- 家具・什器:ダイニングテーブルの天板や、テレビボード、店舗のカウンターなど、オリジナルの家具を作る際にも利用されます。