2枚のガラスの間に中空層を設けた構造で、断熱性・遮音性に優れています。結露が起きにくく、冷暖房効率を高めて省エネに貢献します。中空層には乾燥空気やアルゴンガスが封入されることもあります。一般住宅の窓ガラスとして現在もっとも普及しているタイプです。
名称 | ペアガラス(複層ガラス) |
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大分類 | ガラス・透明素材 |
小分類 | 機能ガラス |
特徴 | 2枚のガラスの間に乾燥空気またはアルゴンガスなどを封入し、周囲を密閉した断熱構造のガラスユニット。Low-Eガラスを組み合わせることも多い |
肌目 | 見た目は一般的な透明ガラスとほぼ同様だが、**ガラスの間にわずかな空間(6〜16mm程度)**がある。縁部にスペーサーが見えることも |
用途 | 住宅・ビル・施設の窓、サッシ、ドアなどの開口部全般に使用。断熱性・遮音性・結露防止性に優れ、省エネ住宅・ZEH住宅に必須 |
産地・メーカー | 国内主要メーカーはAGC、日本板硝子、セントラル硝子など。サッシメーカー(YKK AP、LIXILなど)と組み合わせて全国に流通 |
ペアガラス(複層ガラス)の概要・特徴
ペアガラスは、その名の通り2枚の板ガラス(ペア)を組み合わせたガラスで、正式には「複層ガラス」と呼ばれます。現代の住宅で使われる窓ガラスの、最も標準的な仕様です。
2枚のガラスの間には「中空層(ちゅうくうそう)」と呼ばれる乾燥した空気の層があり、この層が熱の伝わりを邪魔する壁のような役割を果たします。これにより、一枚のガラスに比べて格段に高い断熱性能を発揮するのが最大の特徴です。
この断熱性能のおかげで、冬場に外の冷たさが室内に伝わりにくくなり、結露の発生を大幅に抑制することができます。また、中空層に空気よりも熱を伝えにくい「アルゴンガス」を注入したり、ガラスの表面に特殊な金属膜をコーティングした「Low-E(ローイー)ガラス」と組み合わせることで、さらに性能を高めることができます。
ペアガラス(複層ガラス)のメリットとデメリット
メリット
- 優れた断熱効果:夏は外の暑さが、冬は外の寒さが室内に伝わりにくくなります。これにより、冷暖房の効率が上がり、省エネや光熱費の節約に繋がります。
- 結露の抑制:ガラス表面が冷えにくくなるため、不快な結露の発生を大幅に減らします。これにより、カビやダニの発生を抑え、健康的な室内環境を保つのに役立ちます。
- 遮熱・UVカット効果(Low-Eガラスの場合):Low-Eガラスと組み合わせることで、夏場の強い日差し(赤外線)や、家具・床の日焼けの原因となる紫外線をカットする効果も期待できます。
- 遮音性の向上:一枚のガラスに比べ、音の伝わりを和らげる効果があります。
デメリット
- コストが高い:一枚のガラス(単板ガラス)に比べて、製品の価格は高くなります。
- 重量がある:ガラスが2枚あるため、重くなります。サッシや建物の構造に、その重さを考慮する必要があります。
- 内部結露のリスク:製品寿命(一般的に10年~15年)を過ぎてガラス周りのシール材が劣化すると、中空層に湿気が入り込み、ガラスの内側が結露して曇ってしまうことがあります。こうなるとガラス自体の交換が必要です。
ペアガラス(複層ガラス)の用途
ペアガラス(複層ガラス)は、省エネが重視される現代の住宅において、窓ガラスの標準仕様としてあらゆる場所で採用されています。
- 住宅の窓全般:リビングの掃き出し窓から、寝室・子供部屋の窓、浴室・トイレの小窓まで、全ての窓に使われます。
- 高気密・高断熱住宅:住宅全体の断熱性能を高める上で、必須のアイテムとなります。
- リフォームでの活用:既存の窓の内側にもう一つ窓を設置する「内窓(二重窓)」や、古いサッシのガラスをペアガラスに交換する際にも利用されます。