表面に凹凸や模様を施した半透明ガラスで、視線を遮りながら光を取り入れることができます。浴室やトイレ、玄関ドアなどのプライバシーが必要な場所に多く使われます。模様の種類により光の拡散具合やデザイン性が異なります。すりガラスは表面を研磨して白く曇らせたタイプです。
名称 | 型板ガラス(すりガラス) |
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大分類 | ガラス・透明素材 |
小分類 | 一般ガラス |
特徴 | フロートガラスをベースに、表面に凹凸模様を型押し(型板)または薬品・研磨処理(すりガラス)した装飾用ガラス |
肌目 | 表面はマットで柔らかい光の透過感があり、**模様付き(型板)や均一な曇り(すりガラス)**が特徴。目隠し効果がある |
用途 | 室内建具、間仕切り、浴室やトイレの窓、玄関ドアの明かり取り、家具の扉などに使用。採光とプライバシーの両立が可能 |
産地・メーカー | 国内ではAGC(旧旭硝子)、日本板硝子、セントラル硝子などが製造。建材メーカーや建具メーカーを通じて全国で流通 |
型板ガラスとすりガラスの概要・特徴
建築のプロとして、まず非常に重要な点をお伝えします。「型板ガラス」と「すりガラス」は、見た目は似ていますが、全く異なる製造方法で作られた、別の種類のガラスです。
- 型板ガラス(かたいたガラス):溶けたガラスを、模様が彫られたローラーと平らなローラーの間を通して、片面に凹凸模様を転写して作られます。現在の住宅で、プライバシー保護のために使われるガラスの主流です。
- すりガラス:透明なフロートガラスの表面に、砂などの研磨剤を吹き付けて無数の細かい傷をつけ、白く濁らせて作られます。水に濡れると透明度が上がってしまうという弱点があり、近年ではあまり使われません。
ここでは、現在最も一般的に使われている「型板ガラス」を中心に解説します。
型板ガラスの最大の特徴は、表面の凹凸が光を乱反射させることで、光を取り入れながら、視線を効果的に遮ることができる点です。デザインには、「梨地(なしじ)」と呼ばれる果物の梨の皮のような細かい模様や、「霞(かすみ)」と呼ばれるモヤがかかったような模様などがあります。
型板ガラスのメリットとデメリット
メリット
- プライバシーの確保:外からの視線を遮ることができるため、浴室やトイレなど、人目を気にしたくない部屋に最適です。
- 採光性の維持:視線は遮りますが、光は通すため、部屋が暗くなることがありません。
- 水濡れに強い:すりガラスと違い、水に濡れても透明度が変わらないため、浴室などの水まわりでも安心して使えます。
- コストが安い:特殊なガラスではないため、一般的な透明ガラス(フロートガラス)とほとんど変わらない価格で手に入ります。
デメリット
- 外の景色が見えない:プライバシーを守る反面、窓から外の景色を眺めることはできません。
- 強度は高くない:あくまで視線を遮るためのガラスなので、衝撃に対する強度は透明ガラスと同じです。防犯性能はありません。
- 掃除がしにくい:凹凸のある面に汚れがたまると、平らなガラスに比べて少し掃除がしにくい場合があります。
型板ガラスの用途
型板ガラスは、そのプライバシー保護性能を活かして、家の中の様々な場所で使われます。
- 水まわりの窓:浴室、洗面所、トイレなど、プライバシーが最も重視される部屋の窓。
- 隣家と近接する窓:リビングや居室でも、隣の家の窓と向かい合っているなど、視線が気になる場所の窓。
- 玄関まわり:玄関ドアの袖にあるガラス(FIX窓)や、採光用の小窓など。
- 室内の建具:リビングドアの一部や、間仕切り壁にはめ込む採光用のガラスとして。