もっとも一般的な透明ガラスで、表面が平滑でゆがみの少ないガラスです。建築用の窓や室内建具、ショーウィンドウなどに広く使われています。比較的安価で加工もしやすい一方、割れやすいため安全性の高い場所には不向きです。単板ガラスの代表的な存在です。
名称 | フロートガラス |
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大分類 | ガラス・透明素材 |
小分類 | 一般ガラス |
特徴 | 珪砂(けいしゃ)・ソーダ灰・石灰石などを高温で溶融し、金属(通常はスズ)の上に浮かべて均一に成形した板ガラス。現代の板ガラスの基本形 |
肌目 | 表面は非常になめらかで平滑、光沢があり透明度が高い。歪みが少なく、映り込みも美しい |
用途 | 窓ガラス、建具、ショーケース、鏡の母材、強化ガラスや複層ガラスの基材など、建築・インテリア全般で広く使用される |
産地・メーカー | 国内ではAGC(旧旭硝子)、日本板硝子、セントラル硝子などが主要メーカー。世界中で製造される標準的な板ガラス製法 |
フロートガラスの概要・特徴
フロートガラスは、「窓ガラス」と聞いて多くの人が思い浮かべる、ごく一般的で透明なガラスのことです。現代の建築で使われるガラスの、最も基本となる素材です。
その名前は「フロート法」という製造方法に由来します。これは、溶かしたガラスを、溶かした金属(錫)の上に浮かべて(フロートさせて)、重力で自然に平らにしながらゆっくり冷やし固める方法です。
この製造方法のおかげで、表面が非常に滑らかで、厚みが均一な、景色の歪みがほとんどない高品質なガラスを大量生産することができます。見た目は無色透明ですが、断面をよく見ると、原料に含まれる鉄分の影響でわずかに緑色がかって見えます。
フロートガラスのメリットとデメリット
メリット
- 平滑で視界がクリア:表面が滑らかで歪みがないため、景色をクリアに見ることができます。
- コストパフォーマンスが高い:最も標準的なガラスとして大量生産されているため、安価に手に入れることができます。
- 加工性が高い:切断や穴あけなどの加工がしやすく、このフロートガラスを元にして、強化ガラスや合わせガラスなど、様々な機能を持つガラスが作られます。
- サイズのバリエーションが豊富:小さな窓から大きな窓まで、様々なサイズのガラスを製造できます。
デメリット
- 衝撃に弱く、割れやすい:熱処理などを施していない素の状態のガラスなので、衝撃に対する強度は高くありません。
- 割れ方が危険:割れると、鋭い刃物のような大きな破片になるため、人がぶつかる可能性のある場所での使用には注意が必要です。
- 断熱性が低い:一枚のままでは熱を伝えやすく、夏は暑さ、冬は冷気が伝わりやすいため、結露の原因にもなります。
- 防犯性が低い:簡単に割ることができるため、防犯の観点からは無力です。
フロートガラスの用途
フロートガラスは、そのままで使われるだけでなく、様々なガラス製品の「素板(もといた)」として、あらゆる場所で活躍しています。
- 窓ガラスの基本素材:住宅やビルの窓ガラスとして。ただし、近年の住宅では、断熱性を高めるために2枚のフロートガラスを組み合わせた「複層ガラス」として使われるのが一般的です。
- 高機能ガラスの加工元:フロートガラスを熱処理して強度を高めた「強化ガラス」、2枚のガラスの間にフィルムを挟んだ「合わせガラス」、特殊な金属膜をコーティングした「Low-Eガラス」など、あらゆる機能性ガラスの元となります。
- 内装材・家具:テーブルの天板、ガラスの棚板、室内の間仕切り(パーティション)など。
- 鏡の材料:フロートガラスの片面に銀などを蒸着させて、鏡が作られます。