アルミ蒸着などの反射材を使用したシート状の建材で、太陽熱や放射熱を反射し、屋根裏や壁内の温度上昇を抑えます。断熱材と併用することで冷暖房効率が大きく向上します。軽量で施工が簡単なうえ、薄くても効果が高いのが特徴です。高気密・高断熱住宅における省エネ対策の定番素材です。

名称遮熱シート
大分類繊維・布・紙系
小分類 用途別素材
特徴 アルミ箔や金属蒸着フィルム、樹脂シート(ポリエチレン・ポリエステル)などを基材とした多層構造のシート材。反射層と緩衝層を組み合わせて構成される
肌目 表面は銀色の金属光沢があり、薄くて軽量なシート状。片面反射タイプ・両面反射タイプなどがあり、ロール状で提供されることが多い
用途 屋根・壁・天井・床の内側に施工し、太陽熱(輻射熱)を反射して室内温度の上昇を抑える。断熱材との併用で冷暖房効率を向上
産地・メーカー 日本ではタイベック(デュポン)、旭ファイバーグラス、タジマ、JSPなどが製品を展開。DIY向けから建築用高性能品まで種類豊富

遮熱シートの概要・特徴

遮熱シートは、主にアルミニウムの薄い膜(アルミ箔など)で作られた、シート状の建築材料です。鏡が光を反射するように、熱線(赤外線)を反射する「遮熱」という機能に特化しています。

夏の太陽の熱や、熱くなった屋根から放射される「輻射熱(ふくしゃねつ)」を室内に侵入させないように、文字通り跳ね返すことで、室温の上昇を抑えます。魔法瓶の内側がピカピカしているのと同じ原理です。

厚みで熱の移動を遅らせる「断熱材」とは役割が異なり、遮熱シートは熱を反射することに特化しています。この二つを組み合わせることで、より効果的な温熱環境を作ることができます。

遮熱シートのメリットとデメリット

メリット

  • 夏の暑さ対策に効果絶大:屋根や外壁からの輻射熱を強力に反射するため、特に屋根裏や最上階の部屋の温度上昇を大幅に抑制できます。
  • 冷房効率の向上:室温が上がりにくくなることで、エアコンの効きが良くなり、省エネや光熱費の削減に繋がります。
  • 薄くて軽量:非常に薄く軽いため建物への負担がなく、施工も比較的容易です。リフォームにも適しています。
  • 断熱材との併用で効果アップ:断熱材が苦手とする輻射熱を遮熱シートがカットすることで、お互いの性能を高め合い、より快適な住環境を実現します。

デメリット

  • 冬場の効果は限定的:主に外からの熱を反射する機能のため、冬場に室内の暖かさを保つ効果は、断熱材に比べて大きくありません。
  • 単体での効果には限界がある:熱の伝わり方には「伝導」「対流」「輻射」の3つがありますが、遮熱シートが防げるのは主に「輻射」だけです。断熱材との併用が基本となります。
  • 施工方法が非常に重要:効果を発揮するには、シートの表面に必ず「空気層」が必要です。この空気層がないと熱を反射できず、性能が著しく低下します。
  • 結露のリスク:施工方法を間違えると、シートの表面で結露が発生し、カビや構造材の腐食の原因になる可能性があります。

遮熱シートの用途

遮熱シートは、その特性を活かして、主に建物の外皮(外気に接する部分)で、輻射熱の影響が大きい場所に使われます。

  • 屋根の下地:最も効果的で代表的な用途です。屋根材の下に施工し、太陽の熱が屋根裏に侵入するのを防ぎます。
  • 外壁の下地:外壁材の内側に施工し、壁面からの熱の侵入を軽減します。
  • リフォームでの活用:既存住宅の天井裏に敷き込むことで、手軽に夏の暑さ対策を強化することができます。