ガラスを繊維状にした断熱材で、高い断熱性・不燃性・吸音性を持ちます。住宅の壁や天井、床下など幅広い箇所に使用されています。軽量で施工性が良い反面、チクチクした感触があるため、防護対策が必要です。価格と性能のバランスが良く、最も普及している断熱材の一つです。
名称 | ガラス繊維(グラスウール) |
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大分類 | 繊維・布・紙系 |
小分類 | 人工繊維 |
特徴 | ガラスを高温で溶融し、繊維状に引き伸ばして形成した無機繊維断熱材。主にリサイクルガラス(カレット)などが原料 |
肌目 | 表面はふわふわとした綿状の質感で、黄色または白色。フェルト状・ボード状など形状にバリエーションあり |
用途 | 住宅や建築物の壁・天井・床の断熱材、吸音材、ダクト断熱材、防火被覆材など。断熱性・防音性・耐火性・コストパフォーマンスに優れる |
産地・メーカー | 日本国内ではパラマウント硝子工業、旭ファイバーグラス、マグ・イゾベールなどが主要メーカー。全国に流通・施工体制が整備されている |
ガラス繊維(グラスウール)の概要・特徴
ガラス繊維(グラスウール)は、リサイクルガラスなどを高温で溶かし、わたあめを作るようにして非常に細い繊維状に加工した、綿のような見た目の断熱材です。日本の住宅で最も広く普及している、最もスタンダードな断熱材と言えます。
その最大の特徴は、無数の細かい繊維が複雑に絡み合うことで、内部にたくさんの動かない空気の層を作り出している点です。この空気の層が熱の伝わりを強力にブロックし、高い断熱性能を発揮します。
製品としては、ロール状や板状(ボード状)のものがあり、住宅の壁の中や天井裏、床下などに隙間なく充填することで、家全体の断熱性を高めます。
ガラス繊維(グラスウール)のメリットとデメリット
メリット
- コストパフォーマンスが高い:他の多くの断熱材に比べて材料が安価で、コストを抑えながら高い断熱効果を得ることができます。
- 優れた耐火性:主原料がガラスであるため、燃えにくい不燃材料です。火災の際にも燃え広がりにくく、有毒ガスも発生しません。
- 高い耐久性:無機質であるため、シロアリの食害を受けたり、腐ったりすることがなく、長期間にわたって性能を維持します。
- 吸音性がある:内部の空気層が音を吸収するため、外部の騒音を和らげたり、室内の音漏れを軽減したりする効果も期待できます。
デメリット
- 湿気に弱い:水に濡れると、繊維間の空気層が水で埋まってしまい、断熱性能が著しく低下します。施工時には、防湿シートなどで湿気対策を徹底することが非常に重要です。
- 施工品質に性能が左右される:壁の中に隙間なく、また押し込みすぎずに適切な厚みで充填しないと、本来の性能を発揮できません。職人の丁寧な施工が不可欠です。
- 肌への刺激:施工時に細かいガラスの繊維が飛散し、肌に付着するとチクチクとした刺激を感じることがあります。ただし、壁の中に収まってしまえば、居住者が影響を受けることはありません。
ガラス繊維(グラスウール)の用途
グラスウールは、その優れた断熱性とコストパフォーマンスから、住宅の省エネ性能を高めるために、あらゆる場所で使われます。
- 壁の断熱材:最も一般的な用途です。柱と柱の間に隙間なく充填します。
- 天井・屋根裏の断熱材:天井裏に敷き詰めることで、屋根からの熱の出入りを効果的に防ぎます。
- 床下の断熱材:床下から伝わる冷気を遮断し、足元の冷えを和らげるために使用します。
- 間仕切り壁の吸音材:部屋と部屋を仕切る壁の中に入れることで、隣室への音漏れを軽減する目的でも使われます。