セメントに繊維材料を混ぜて薄く成形した屋根材で、天然スレートに似た見た目を持ちながら軽量で扱いやすいのが特徴です。カラーベストやコロニアルと呼ばれることもあり、現在の住宅屋根材として広く普及しています。耐候性や防火性に優れ、施工コストも比較的安価です。ただし、経年劣化によりひび割れや塗膜の劣化が起きるため、10〜15年ごとの再塗装が推奨されます。
名称 | 人工スレート |
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大分類 | 石材 |
小分類 | 人工石 |
特徴 | セメントとパルプ繊維などを混ぜて薄い板状に成形し、表面に塗装やコーティングを施した屋根材。天然石ではなく、人工素材の屋根スレート |
肌目 | 表面はフラット〜やや凹凸のある質感。カラーバリエーションが豊富で、マット調や自然石風の仕上げもある |
用途 | 戸建住宅やアパートの屋根材として広く使用。軽量・施工性が高く、価格も比較的安価で、現在日本の住宅屋根で主流のひとつ |
産地・メーカー | 日本ではケイミュー(カラーベスト)、ニチハ、旭ファイバーグラスなどが主要メーカー。国内で製造・施工されることが多い |
人工スレートの概要・特徴
人工スレートは、セメントに繊維質の材料を混ぜて薄い板状に固め、表面を塗装で仕上げた屋根材です。「化粧スレート」とも呼ばれ、日本では「コロニアル」や「カラーベスト」といった商品名で広く知られています。
日本の戸建て住宅で最も普及している屋根材と言っても過言ではなく、多くのお住まいで採用されています。その理由は、比較的安価で、軽く、デザインのバリエーションも豊富だからです。
表面の塗装が、屋根の色や光沢といった美観を保つと同時に、セメント自体が水を吸わないように保護する重要な役割を担っています。
※注意:ヨーロッパの教会などで使われる、高価な天然石の「スレート(粘板岩)」とは全く異なるものです。
人工スレートのメリットとデメリット
メリット
- コストパフォーマンスが高い:材料費も施工費も他の屋根材に比べて比較的安価なため、初期費用を抑えることができます。
- 軽量で耐震性に有利:日本瓦などに比べて非常に軽いため、建物への負担が少なく、地震の際の揺れを軽減する効果が期待できます。
- デザインが豊富:色や形のバリエーションが多いため、様々なデザインの住宅に合わせやすいです。
- 施工できる業者が多い:広く普及しているため、施工に慣れている業者が多く、業者選びの選択肢が豊富です。
デメリット
- 定期的な塗装メンテナンスが必要:経年で表面の塗装が劣化すると、色褪せたり、防水性が低下したりします。10年前後を目安に、保護のための再塗装が必要です。
- 割れやすい:薄いセメントの板であるため、台風による飛来物や、人が強く踏むといった衝撃でひび割れや欠けが生じることがあります。
- コケやカビが発生しやすい:塗装が劣化して撥水性が失われると、表面が水分を含みやすくなり、日当たりの悪い面などにコケやカビが発生しやすくなります。
- 断熱性は高くない:素材自体に高い断熱性能は期待できません。屋根裏の断熱材で断熱性を確保する必要があります。
人工スレートの用途
人工スレートは、そのコストパフォーマンスの良さから、主に住宅の屋根材として広く使われています。
- 戸建て住宅の屋根材:新築住宅において、最もスタンダードな選択肢の一つです。
- 屋根のリフォーム:古い屋根の葺き替えはもちろん、既存の屋根の上から新しい屋根材を被せる「カバー工法」を行う際の、下地となる屋根としても多く存在します。