極めて高い耐衝撃性と透明性を持つプラスチックで、防犯用の窓や屋根材、カーポートなどに使われます。ガラスの数百倍の強度を持ちながら、軽量で加工しやすいのが特徴です。耐候性も高く、紫外線カットタイプもあります。熱にやや弱いため、使用環境に応じた選定が重要です。

名称ポリカーボネート
大分類樹脂(プラスチック系)
小分類 熱可塑性樹脂
特徴 ポリカーボネート(Polycarbonate)は炭酸エステルを重合して得られる高機能エンジニアリングプラスチック。非常に高い耐衝撃性をもつ
肌目 表面は高い透明度と滑らかさをもち、ガラスに近い光沢感。マットタイプや中空構造(中空板)もあり、用途に応じて選べる
用途 カーポート屋根材・波板・温室・採光パネル・窓材・間仕切りなど。強度・耐候性・断熱性が必要な場面で活用される
産地・メーカー 日本では三菱エンジニアリングプラスチックス、帝人、出光興産などが主要メーカー。中空板や成形品は国内加工が中心

ポリカーボネートの概要・特徴

ポリカーボネートは、非常に高い性能を持つエンジニアリングプラスチックの一種で、「ポリカ」と略して呼ばれることが一般的です。

最大の特徴は、プラスチックの中でも最強クラスの耐衝撃性です。同じ厚さのガラスの200倍以上、アクリルの数十倍とも言われるほどの強度を持ち、ハンマーで叩いても簡単には割れません。この驚異的な強さに加え、ガラスに匹敵する高い透明性も兼ね備えています。

また、広い温度範囲(約-40℃~120℃)で使用できる優れた耐熱・耐寒性や、火元が離れると自然に火が消える「自己消火性」も持っており、非常にタフで安全性の高い素材です。

ポリカーボネートのメリットとデメリット

メリット

  • 驚異的な耐衝撃性:非常に割れにくいため、台風などの際の飛来物に対しても高い強度を発揮します。
  • 軽量で安全:ガラスの約半分の重さで、建物への負担が少なく施工もしやすいです。万が一破損しても、ガラスのように鋭く飛び散ることがなく安全です。
  • 高い透明度:光をよく通すため、明るさを確保したい場所の屋根材などに最適です。
  • 加工性が良い:熱による曲げ加工が容易なため、アーチ状の屋根など、デザイン性の高い形状にも対応できます。

デメリット

  • 表面が傷つきやすい:衝撃には強いですが、表面硬度はそれほど高くないため、砂や硬いブラシで擦ると細かい傷がつきやすいです。
  • 紫外線による劣化:素材そのものは紫外線に弱いため、建材として使われる製品には、表面に耐候性を高めるための特殊なコーティングが施されています。
  • 薬品に弱い:アルカリ性の洗剤や、シンナーなどの有機溶剤に触れると、白く濁ったり、ひび割れたりする可能性があります。
  • 比較的高価:アクリル板や塩ビ板といった他のプラスチックに比べて、材料の価格は高めです。

ポリカーボネートの用途

ポリカーボネートは、その「強くて透明」という特性を最大限に活かし、主に屋外で光を取り入れつつ、強度と安全性が求められる場所で使われます。

  • カーポートの屋根材:最も代表的な用途です。車の塗装を紫外線から守り、雹(ひょう)などの飛来物からも車体を保護します。
  • バルコニー・テラスの屋根材:雨を防ぎながら、洗濯物を干すスペースなどに明るさをもたらします。
  • サンルームの屋根・壁:強度と透明性を活かし、開放的な空間を作るために使用されます。
  • 防音壁:高速道路などで使われる透明な防音パネルは、ポリカーボネート製であることが多いです。