粘土を焼成して作られた屋根材で、耐久性・断熱性・防火性に優れています。伝統的な日本建築から現代住宅まで幅広く使われています。重量があるため、構造計画や耐震性の考慮が必要です。自然素材ならではの風合いや色合いも魅力のひとつです。

名称瓦(粘土瓦)
大分類セラミック・タイル
小分類 タイル
特徴 主に粘土を原料とし、高温(1,000〜1,200℃)で焼成してつくられる。陶器瓦・いぶし瓦・無釉瓦などがある
肌目 表面はなめらかで硬く、光沢のあるタイプやマットなものまで多様。いぶし瓦は銀色の渋い光沢が特徴
用途 主に屋根材として使用される。高い耐久性・耐火性・遮熱性があり、伝統建築から現代住宅まで幅広く対応
産地・メーカー 国内では三大産地が有名:① 淡路瓦(兵庫県南あわじ市)② 三州瓦(愛知県西三河地方)③ 石州瓦(島根県石見地方)

瓦(かわら)の概要・特徴

瓦は、粘土を主成分とする原料を板状に成形し、高温で焼き固めて作られる屋根材です。

日本では古くから寺社仏閣や住宅の屋根に使われてきた、非常に歴史の長い伝統的な建材です。

大きな特徴は、非常に高い耐久性です。素材自体が紫外線や雨風による劣化に強く、塗装などの定期的なメンテナンスがほとんど必要ありません。また、瓦とその下の屋根下地との間に空気の層ができるため、断熱性や遮音性に優れているのも魅力です。

製法や釉薬(ゆうやく)の有無によって、表面がガラス質でツヤのある「陶器瓦」、いぶして炭素の膜をつけた「いぶし瓦」、セメントを主原料にした「セメント瓦」など、様々な種類があります。

瓦(かわら)のメリットとデメリット

メリット

  • 優れた耐久性:素材自体が非常に硬く、色褪せや変質がほとんどありません。塗装メンテナンスが不要で、50年以上もつと言われるほどの長寿命です。
  • 高い断熱性:瓦と屋根下地の間の空気層が断熱材の役割を果たし、夏の熱気や冬の冷気が室内に伝わるのを和らげます。
  • 高い遮音性:瓦自体の重さと厚みにより、雨音などが室内に響きにくく、静かな居住空間を保ちやすいです。
  • デザインの多様性:伝統的な和風住宅はもちろん、洋風住宅に合う形状や色の瓦も豊富にあり、建物に重厚感や高級感を与えます。

デメリット

  • 重量がある:他の屋根材(スレートや金属屋根)に比べて重いため、その重さに耐えられる頑丈な建物の構造が必要になります。
  • 初期費用が高い:材料費も施工費も比較的高価になる傾向があります。
  • 衝撃で割れることがある:台風時の飛来物など、強い衝撃が加わると割れたり、欠けたりすることがあります。その場合は部分的な交換が必要です。
  • 地震時の揺れへの影響:屋根が重いと建物の重心が高くなるため、地震の際には揺れが大きくなる可能性があります。そのため、現在の建築基準では十分な耐震設計が求められます。

瓦(かわら)の用途

瓦の主な用途は、建物の最も高い場所を覆う屋根材です。

  • 住宅の屋根:和風、洋風を問わず、戸建て住宅の屋根材として広く使用されます。
  • 寺社仏閣の屋根:日本の伝統建築には欠かせない屋根材として、その景観を構成しています。
  • 塀の屋根:家の周りを囲む塀の一番上に「塀瓦」として葺かれ、塀を雨から守るとともに、住まい全体のデザイン性を高めます。